橋下氏が都知事選出馬なら→一石三鳥

舛添要一・東京都知事が絶体絶命のピンチに立たされている公用車での毎週末の別荘通いや税金を使った海外出張時の大名旅行ぶりへの批判に加え、政治資金で家族旅行をしていたのではといった疑惑が次々発覚、釈明はしたものの都民の不信感は高まるばかりだ

 ここに来て都議会自民党関係者からは、6月1日辞任、7月10日に都知事選挙と参議院選挙をWで行なうといった憶測も急浮上してきた。都議会自民党の背後には当然官邸の思惑がある。

 官邸の思惑通りに舛添電撃辞任によって参院選と都知事選のW選挙となった場合、焦点は新たな「東京五輪の顔」となる都知事候補が誰になるのかだろう

 自民党都議の1人は、「知事を辞任させるべきだという声は強いが、ネックは有力な後任が見当たらないこと。都連は参院選の東京選挙区に2人候補を擁立する方針だが、乙武洋匡氏がスキャンダルで出馬断念した後、参院でも2人目の候補がいまだに見つからないというのが実情。ましてや都知事候補となると高い知名度がいる。候補が決まりさえすれば一気に選挙戦に動くことができるのだが」と語る

 自民党内の人材難は、前回都知事選で党を除名されていた舛添氏を担がざるを得なかったことが証明している。

 そこでウルトラCの候補として浮上しているのが「無役」となったあの人だ。政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう見る。

舛添氏を降ろして出直し都知事選となれば、短期決戦だから、有権者にとって顔と名前が一致する知名度の高い候補でなければ勝負にならない。その意味で、大阪府知事と大阪市長を経験し、首長としての経験十分な橋下徹氏の名前が官邸周辺で囁かれています

 橋下氏は「政界を引退する」と大阪市長を退任した後、『おおさか維新の会』には正式に参加せずに現在は弁護士業とテレビ・コメンテーター業を務めているが、安倍官邸、特に菅義偉官房長官との太いパイプを持つことで知られる

 そもそも菅氏は橋下氏に政界入りを説得した人物で、橋下氏も引退会見で菅氏を「とんでもない政治家だ」と手放しで絶賛するなど、いまだに強い信頼関係がある

もし、橋下氏が無所属で都知事選に出馬し、安倍政権と自民党が全面支援すれば、知名度からいっても野党側が対抗できる候補を擁立するのは難しいだろう。政治評論家の浅川博忠氏もこう語る。

「現在の安倍政権は外交・防衛に力を入れ、世論が求めている社会保障や景気回復がおろそかになっている。アベノミクスの限界も見えてきたそういう状況の中で参院選と都知事選のダブル選挙になった場合、大都市圏は革新が強い傾向があるため通常であれば野党にアドバンテージがあると考えられます

 ただし、安倍政権が橋下氏を擁立できれば風向きはガラリと与党有利に変わる可能性が高い橋下氏にはそれだけのインパクトがある橋下氏の出馬が前提なら、安倍政権にとって都知事選とのダブルは切り札的になるでしょう

 安倍首相は参院選で公明党、おおさか維新などを合わせた改憲推進勢力で3分の2の議席確保を目指している。橋下氏自身は参院選出馬に否定的だが、都知事選に出馬すれば、相乗効果でおおさか維新の参院選での議席の上積みも見込める。首相にとっては参院選のテコ入れと都知事選勝利、改憲勢力の拡大というまさに一石三鳥の戦略だ

 橋下氏も憲法改正について「今度の参院選がワン・チャンスだと思っている。泣いても笑っても、ここを逃せば、10年、20年と憲法改正の機会は遠のく」と語るなど首相と同じ考えだ

※週刊ポスト2016年5月27日号

 NEWS ポストセブン2016.05.17
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