格安スマホ選びで考える2つのポイント

スマホを持ちたいけど、通信料が上がるのが心配。そんな不満を解消する選択肢として、今、格安スマホが注目を集めている

実際、契約者数も急激に伸びている。通信事業を管轄する総務省によると、2014年12月末時点での契約者数は195万人。2013年は138万人だったため、1年で規模は1.4倍ほどになった

格安スマホは、「MVNO」と呼ばれる形態の会社が提供している。MVNOとは、モバイル・バーチャル・ネットワーク・オペレーターの略日本語にすると、仮想移動体通信事業者になる。漢字で書くと非常にお堅い企業にも見えるかもしれないが、要は設備を借りて運営しているケータイ会社ということドコモ、au、ソフトバンクといった大手事業者とは異なり、電波を出し、通信を行うための基地局を持たないため、このように呼ばれている

設備を借りているとはいえ、MVNOも通信事業者であることに変わりはない。そのため、料金は会社によってまちまちだが、現在の相場は月3ギガバイトのデータ通信が900円台

一方で、ドコモとソフトバンクは2ギガバイトで3500円、auは3ギガバイトで4200円。MVNOの料金は、大手通信事業者の3分の1から4分の1以下になっていることが分かる。まさに「格安」と呼ぶにふさわしい料金水準と言える。

電波の強さはまったく同じ

ただ、こんなに安いと「本当につながるの?」と不安に思う向きもあるだろう。確かに、通信事業者を切り替えるだけで料金が4分の1になるのは、にわかには信じられないことかもしれない

ところが、こと「つながりやすさ」に関しては、大手通信事業者と比べてもまったく遜色はない。ほとんどのMVNOは、ドコモと同じエリアで使うことができる

なぜなら、先ほど挙げたように、MVNOは基地局を大手通信事業者から借りているから。電波の強さに関しては、まったく同じになる。「安かろう、悪かろう」とは言えないのだ

注目すべきは「データの幅」と「利用者数」

では、なぜこんなに安い料金を設定できるのか。その答えもまた、「設備を借りている」という事業形態にある。大手通信事業者がMVNOに設備を貸し出す際の料金は、総務省の決めたガイドラインに算出方法が定められている。

 大手通信事業者は、その額を毎年、届け出なければならない。この料金のことを、「接続料」と呼ぶ。接続料は、設備の構築にかかった費用を、設備の容量で割って算出している

 各社とも、コストを抑えつつネットワークを増強しているため、この接続料は年々下落傾向にある。ドコモに関して言えば、2008年度は10Mbpsあたり1267万円だったものが、2014年度には94万5059円にまで下がっている

MVNOにとっての原価とも言えるコストが、料金が10分の1以下になっているのだ

また、10Mbpsあたりという形で料金が公開されていることからも分かるように、MVNOには、データの流れる幅を大手通信事業者から買っている。ここの幅を、どれだけの利用者でシェアするかはMVNO次第だ

 たくさんデータの幅を買い、利用者が少なければ、1人あたりの通信速度が上がるが、コストがかさんでしまう。逆に、データの幅が少ない中に多くの利用者を詰め込むと、通信速度は低下するが、MVNOにとってのもうけは大きくなる。このバランスをうまく取ることで、格安な料金を実現できているというわけだ

ただし、コストを過度に抑えようとすると、そのしわ寄せは利用者にくる。中には、十分な速度が出ない会社もあるため、注意が必要だ。通信エリアに関しては「安かろう、悪かろう」ではないものの、通信速度についてはその会社の方針次第。利用にあたっては、口コミなどの評判は重視した方がいいだろう。

(注)10Mbps:毎秒10メガビットのデータを流すことができる幅。道路の道幅のようなもので、同時に利用しているユーザーが1人なら10メガビット、複数入れば1人あたりは人数で割っただけの幅になる。MVNOはユーザー数、ユーザーの利用動向に応じて、この幅を購入している。

参考 経営プレミア 2015.06.01

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