林業活性化、雇用も創出

新潟市北区太郎代の新潟東港工業団地で、出力5750キロワットの木質バイオマス発電所の建設が進んでいる。バイオパワーステーション新潟(同区)が広大な県内山林に眠る未利用間伐材などを燃料に発電する事業で、来年6月の運転開始を目指す。同社を誘致した新潟市は、森林資源の発電利用が林業の活性化や雇用の創出につながることを期待している。(臼井慎太郎)

■1万世帯分の電力

バイオパワーステーション新潟は、林業のノーリン(福島県喜多方市)とリサイクル業の大橋商会(新潟市)が共同で設立した。

発電所は、県産間伐材などを燃やして作った高温高圧の水蒸気でタービンを回して発電する方式

年間発電量は4039万キロワット時で、一般家庭約1万世帯分の電力消費量に相当する再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を活用して東北電力に売電する計画で、約13億円の収益を見込んでいる

総事業費の33億円は協調融資でまかない、主幹事の東邦銀行(福島市)が23億円、第四銀行(新潟市)が10億円を貸し付ける

■会津の経験活用

発電事業に生かすのが、ノーリン出資のグリーン発電会津が会津若松市で平成24年に運転を始めた発電所のノウハウだ。

調達した間伐材などは発電燃料のチップに加工して発電所に納入するが、チップの水分含有率は不均一。同社の鈴木仁士社長は「水分が多いチップは安定した燃焼が難しいため、多くの熱を回収しにくい。そこで、チップの供給や炉の運転に関する経験を積んできた」と胸を張る

未利用材の安定供給態勢の構築も事業の成否を左右する課題だ。

全国6位の森林面積がある新潟県。同県の26年時点の推計によると、発電に利用可能な間伐材や主伐材などは約7万4600立方メートルに及ぶが、未利用材の利用環境整備は途上にある

未利用材の供給を担う県森林組合連合会の小田稔常務理事は「未利用材が豊富でもチップ化が追いつかない。伐採・集材機械の搬入や間伐材の運搬などに必要な路網を整備し搬出コストを低く抑える方策が必要」と課題を投げかける

鈴木社長は、未利用材の安定供給が軌道に乗るまでの補助燃料として、インドネシア産の「パームヤシの種殻」(PKS)を東港に荷揚げする方針を示す。「将来的には県産未利用材の比率を上げ、林業の持続的な成長につなげたい」と話す

■地域振興の原動力に

各自治体は雇用などの経済効果に注目している。今回の発電所の運営には約15人が従事し、間伐材の伐採・搬出でも約60人の雇用が生まれる見込みだ。新潟市の篠田昭市長は「山に手を入れる人の高齢化が進んでいる。未来につながるバイオマス発電は後継者確保につながる」と述べた

三条市も同様の効果を期待し、6250キロワットの木質バイオマス発電所を保内工業団地に誘致した。燃料は県産間伐材とPKSを併用。29年6月の稼働を予定している。総事業費は約55億5千万円で、一部を東京都が組成したファンドによる出資でまかなう。

関川村も発電所の建設計画を検討中という。木質バイオマス発電を「地域振興の原動力」とする挑戦はこれからが本番だ

参考 産経新聞 2015.09.22

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