朴政権→AIIBで冷遇の大誤算?

米国の制止を振り切って中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加を決めた韓国だが、出資比率は当初の想定を下回る3・5%程度にとどまりそうだ日米主導のアジア開発銀行(ADB)への出資比率よりも下という“冷遇”ぶり。朴槿恵(パク・クネ)政権は、あらためてADBに接近するなど、経済でも「二股」を進めざるをえない状況だ

聯合ニュースなどによると、57カ国が創設メンバーとなったAIIBの出資比率は中国が30%弱で、インドは9%台後半、ロシアは6%台後半とみられる韓国はドイツに続く5位で、3・5%前後になりそうだという

AIIBの運営の透明性に疑問を投げ掛ける米国が難色を示すのを押し切り、中国に恭順の意を示すように参加を決めた韓国では、5%台の出資比率と副総裁ポストを得られるとの観測もあったしかし、AIIB参加を表明した国が増えたこともあって存在感は薄れ、ADBへの出資比率5・1%(2013年現在)を下回ることになった

各国は基本的に出資比率に応じた議決権を持つことになるだけに、発言力も小さくなる。韓国メディアのソウル経済は4月末の段階で、「出資比率3・5%は最悪のシナリオ」と報じたが、現実になろうとしている

AIIBは6月下旬に北京で設立協定の署名式を開き、年内に設立する予定だが、日米が懸念する問題は解決されないままだ。中国の出資比率は30%未満でも、重要案件に関しては議決権の75%以上の賛成が必要という規定が検討されており、これが事実上の拒否権として作用する。理事会も常設されない方向だ

そうしたなか、朴大統領は5月26日、ADBの中尾武彦総裁と会談し、今後3年間でADBに6億ドル(約742億円)の資金を拠出すると発表したADBとも引き続き協力する姿勢を示すことで、米国の不信感がこれ以上強まらないようする狙いがうかがえる

財務省出身の中尾総裁と会談したことで、日本への思惑も透けてみえる歴史・領土問題と安全保障・経済問題を切り離す「2トラック戦略」というかなり身勝手な論法だが、経済が不振のなかで、なりふり構わない姿勢だ

週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は「AIIBを通じて経済圏拡大と政治的な影響力を強めようとする中国と、これを警戒する米国との溝が深まり、日本も距離を置いている一方で韓国は中国に籠絡されたが、期待したほどAIIBで有利な立場とならず、外交的に孤立するようになったことで、あわてて日米に再接近しているが、信用は失われている」と解説する

二股で失敗した朴政権が、再び分裂外交を進めようとしているが、大丈夫なのか

参考 夕刊フジ 2015.06.02

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