最大熱効率44%→トヨタ・ディーゼル

ランドクルーザー・プラドに搭載され、トヨタが日本市場で復活した乗用ディーゼルエンジン「1GD-FTV」

車重2.2tという重量級のSUVにも関わらず、JC08モード燃費性能は11.8km/L、二酸化炭素排出量は219g/kmという環境性能を達成しています

その優れた環境性能を生み出しているのは、トヨタの新型クリーンディーゼルが、単にクリーンなだけではないからです。この新ディーゼルエンジンの最大熱効率は44%と世界最高レベルを実現しているというから驚きです

その技術的なポイントは『世界初のTSWIN(ティーエスウィン)を取り入れた次世代高断熱ディーゼル燃焼を採用』したことにあるといいます

Thermo Swing Wall Insulation Technology」 の略称であり、新型ディーゼルのコア・テクノロジーとしてアピールされているTSWINとは、果たしてどのような技術なのでしょうか

エンジンの熱効率を上げるというのは、燃料を燃やしたエネルギーの損失を減らし、できるだけ運動エネルギーとして利用することともいえます

そして、トヨタのTSWINは冷却損失を大幅に低減することができる新テクノロジーなのです

ポイントは、ピストン頂部にほどこされたコーティングにあります厚さ0.5mmというシリカ強化多孔質陽極酸化膜により、「熱しやすく冷めやすい」という特性を実現したといいます

つまり、燃焼時にピストンから逃げる熱を減らし、また吸入行程ではすばやく放熱することで吸気密度を向上させることができるのですかつて、各メーカーが研究したセラミックエンジンというのは、断熱特性を向上させることで熱効率を高めようというものでしたが、エンジン内の温度が上がったままになってしまうために吸気温度も高まってしまうという欠点があったといいます

今回採用されたTSWINは、燃焼ガスの高膨張化と吸入空気の高密度化という相反する要素を両立できるのがポイントで、それによってピストン由来の冷却損失を30%の低減できたといいます

ちなみに、ピストン頂部の表面温度はシリカ強化多孔質陽極酸化膜の採用によって、およそ150度ほど高くなった(摂氏200度から350度に上がっている)といいます

また、このコーティングにおける最大のポイントは、素材ではなく構造です。ミクロンサイズの多孔構造にシリカでフタをすることで空気を封じ込め、「熱しやすく冷めやすい」特性を実現しているということです

デンソーによる第四世代コモンレール噴射システム(最大噴射圧220MPaで、10孔のソレノイド直噴インジェクター使用)を使った、一回の燃焼につき基本的に4回の燃料噴射を行なう制御も、トヨタ新型ディーゼルエンジンの特徴です

パイロット噴射ではメイン燃焼時に急激に温度が上昇しないように温度を一定にすることを狙って微量の燃料が噴射されます。これは、燃焼音の抑制だけでなく、空気密度の異なる高地などでも安定して燃焼させることのできるロバスト性の高さにつながっているといいます

つづいて、ピストン上死点付近で、比較的長くつづくメイン噴射では燃焼室外側の圧縮された空間に燃料を配置して燃焼させます

最後に、中央付近のピストンが盛り上がった空間にアフター噴射。これによって無駄なく、燃焼室の空気を使い切るというわけです

ピストン頂部のコーティングと合わせて、燃焼温度のコントロールと空気利用率の向上を目指した噴射プログラムも、次世代高断熱ディーゼル燃焼と最大熱効率44%を実現しているのです

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●ランドクルーザープラドTX Lパッケージ主要スペック
車両型式:LDA-GDJ150W
全長:4760mm
全幅:1885mm
全高:1850mm
ホイールベース:2790mm
車両重量:2210kg
乗車定員:7名
エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
ボア×ストローク:92.0×103.6mm
総排気量:2754cc
圧縮比:15.6
最高出力:130kW(177PS)/3400rpm
最大トルク:450Nm(45.9kg-m)/1600-2400rpm
変速装置:6速AT
燃料消費率:11.8km/L
メーカー希望小売価格:469万6037円

参考 CLCCCAR 2015.08.29

 

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