昔の精神分裂症→統合失調症

統合失調症は、精神医療では最も著名な疾患です。長年にわたって研究と治療が続けられており、以前は「早発性痴呆」や「精神分裂病」と呼ばれていたものが、2002年に現在の「統合失調症」に変わりました

◆陽性症状と陰性症状
統合失調症の症状は多岐にわたりますが、主に初期(急性期)に現れる「陽性症状」と、激しい症状が収まった後(慢性期)に現れる「陰性症状」の2種類があります。

●陽性症状
幻覚や妄想、思考障害など、病気によって生まれてくる症状です。幻覚は、見えないはずのものが見えたり(幻視)、聞こえないはずの声が聞こえたり(幻聴)といった「知覚の病」。妄想は、「自分は橋の下で拾われた」(もらわれ子妄想)、「ずっとスパイに命を狙われている」(被害妄想)など、あり得ない想像に囚われている「思考の病」です。また、思考障害では、会話にまとまりがなく支離滅裂になったり、突然無関係なことを話し始めたりします

●陰性症状
病気によって失われる症状です。感情がなくなり周囲に無関心になる「感情の平板化」、自分の世界の閉じこもる「自閉」、やる気がなくなり、集中力がなくなる「意欲の低下」といったことがよく起こります

◆統合失調症の主要な3タイプ
主なタイプとして、「妄想型」「解体型」「緊張型」があります。

●妄想型
陽性症状を主症状とします。意欲・感情の障害や行動の乱れは比較的少なく、薬物療法が有効で、予後(経過の見通し)が比較的よいとされています。
●解体型
徐々に発病していき、陰性症状を主とします。会話や行動にまとまりがなくなっていき、慢性化しやすく、予後がよくないことが多いとされています
●緊張型
急性発症が多く、意欲が落ちて寝たきり(昏迷)となったり、無反応になったりします

中には「緊張病症候群」と呼ばれる、同じ姿勢をずっと保つ「カタレプシー」、相手の動作や言語を真似する「反響症状」、同じ動作や言葉を繰り返す「常同症」、奇妙でわざとらしい動作や表情の「衒奇」(げんき)、食事や薬の拒否や話しかけられても答えない「拒絶症」が現れる場合があります

◆はっきりした原因はわからない
統合失調症の発症頻度は人口の0.7~0.8%で、約120人に1人の割合です発症年齢は15歳~45歳くらいで、特に思春期や青年期に発症するケースが多く見られます

文化や地域によって発症頻度がほとんど変わらないので遺伝的な要因と幼少期の養育環境やストレスが原因と考えられていますが、「根本的な原因は今なお不明」というのが公式見解です

最近では、統合失調症患者には脳内のドーパミンという神経伝達物質が過剰になっていることがわかってきました。これを抑制する抗精神病薬が有効です

◆共感をもって患者に接する
統合失調症に限らず、精神疾患の人は周囲の人には理解に苦しむ言動が多く見られます。周りが引いてしまったり、怖がったりしがちです。しかし、本人は理解されない孤独や自分の症状に苦しんでいるので、つらさや不安などを「わかろう」とする家族や職場などの姿勢が大切です。そして、なんとか治療を受けさせ、薬などで症状を抑えます。可能であれば、精神科リハビリテーション施設などの利用も有効です。適切にケアすれば、時間はかかりますが社会復帰も可能となっています

参考 Mocosuku編集部 2014.12.15

【関連する記事】