日米主導の巨大自由貿易圏誕生

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の参加12カ国は5日朝(日本時間5日夜)、米アトランタで最後の閣僚会合を開き、大筋合意に達した

日本と米国主導で経済規模で世界の4割を占める巨大経済圏が誕生すれば、TPP不参加の中国には大きなダメージとなり同国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の先行きにも暗い影を落としそうだ

 参加国の国内総生産(GDP)の合計が世界の約40%を占める巨大自由貿易圏の誕生は人口減少で国内市場が縮小する日本にとっては大きな好機となる一方、そんな状況を苦々しく思っているのが、TPPに誘われなかったうえ、加盟をあっさりと断られた中国だたたでさえ、国内経済の冷え込みに頭を悩ませている中国にとって、TPPの成功は致命的な打撃となる

中国事情に精通する評論家の石平氏は「中国は相当不利な状況だ今から入るわけにもいかないしそもそも入れない。すぐに影響が出るわけではないが、TPPの大筋合意はジワジワと中国の首を絞めていく中国は今後、ますます追い詰められるだろう」と指摘する

とはいえ、狡猾な中国は、朴槿恵(パク・クネ)大統領率いる韓国のように、TPP交渉を傍観していたわけではない

中国はTPPに対抗するため、AIIBの設立に動いたアジアを中心に57カ国が参加、日米が主導してきた既存の国際秩序の“破壊”を目指す構想だが、残念ながらTPPに対抗するどころか早くも頓挫しそうな勢いだ

そもそも、中国の国内経済が危機的な状況にあるうえ、AIIBの主要出資国であるドイツは自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の排ガス規制不正問題や、シリア難民問題で四苦八苦しており、それどころではない

石平氏は「AIIBはうまくいかない中国の下心がミエミエだ2、3年たてば各国が気づくだろう」と語り、自国の利益しか考えない構想は挫折するとみている

中国分析で定評がある評論家の宮崎正弘氏は「中国は2年ほど前からTPPを警戒し始め、『TPP何するものぞ!』という気持ちで、AIIB創設に加え、世界中でさまざまなプロジェクトをひっくり返してきた」といい、続ける

中国は、先のインドネシアの高速鉄道受注をめぐり金にモノを言わせて日本の新幹線の売り込みを阻止した。他にも、タイをはじめ、アルゼンチンやペルー、米ラスベガス-ロサンゼルス間でも、高速鉄道受注を狙っており世界中で札束攻勢をかけている

だが、中国の国際会議での孤立ぶりは明らかで、習近平国家主席の訪米でも、ローマ法王の米滞在と日程が重なり、米国側の冷遇ぶりが目立った。TPPの創設で、中国はどう出てくるのか。

石平氏は「表向きは大きな反応はせず、平静を装う」と予想する崖っぷちの中国が次はどんな手を打ってくるのか

参考 夕刊フジ 2015.10.06

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