日照不足深刻→野菜・果樹

全国の広い範囲で記録的な日照不足となり野菜や果樹の生育にも影響が出始めた生育中のブロッコリーの花蕾(からい)が圃場(ほじょう)で腐ってしまったり、ピーマンは肥大が進まず出荷量が減ったりと深刻な状況にあるものの、抜本的な対策がないのが現状だ。気象庁によると今後も雨や曇りの天気は続く見通しで、産地からは「まるで梅雨のようだ」という声が上がっている。

・「まるで梅雨」

同庁によると、14日までの10日間合計の日照時間は和歌山県古座川町で3・1時間と平年の5%、奈良県十津川村で2・9時間と同6%を記録。和歌山県新宮市、三重県熊野市も同8%と極端に少ない状況となった。愛知、和歌山、三重、奈良の各県は県内全ての観測地点で日照時間が平年に比べ3割以下となり、四国や九州などでも平年に比べて大幅に日照時間が少ない状況が続いている果樹や野菜の生育に欠かせない4月上旬の日照量が、1961年の統計開始以来、最少となった地点が続出した

なぜ、記録的な日照不足となっているのか。同庁では「高気圧が日本の北と南を覆ったため、その間に挟まれた東日本と西日本の上空を低気圧が通過する状況が続いているため」(気候情報課)と説明。北海道と東北、沖縄地方を除き、東日本から西日本にかけての広い範囲で不安定な天候をもたらしている

日照量が平年並みに戻る見通しは立っていない。同庁は「異常な日照不足は脱し、晴れ間が出る日もあるが、曇天や雨の日が大型連休中まで続き、平年に比べて日照時間が少ない状況となる」(同)と見通す。

かび・腐れ発生も

 影響は産地に及ぶ。ナスの一大産地、高知県のJA土佐あきは、日照不足で実が太らない状況が続く。降雨が続いて湿度が高いことから、葉にかびが発生する「すずかび病」などの被害が一部で出ている。同JA営農課は「日照がないと空気が乾燥しない。この天候では病害対策のための消毒液さえまけない状況だ」と嘆く。

県内ではJA高知はたも、曇雨天の影響で土壌が湿気を多く含み、日照不足が重なり、ブロッコリーの一部が腐敗している地域も出た。同JA幡西営農センターは「抜本的な対策がない。被害がこれ以上、広がらないこと、天候の回復を祈るしかない」と不安を募らせる。

宮崎県では3月下旬から低温と日照不足が続き、ピーマンの肥大に影響が出ている。主力のJA宮崎中央によると、このまま日照不足が続けば、5月の出荷量の減少につながるという。同JA営農部は「換気を徹底しているが、太陽が出ない限りは、なかなか対策の打ちようがない」と頭を抱える

全国有数のトマト産地、熊本県JAやつしろ。出荷を前に果実の着色が進まず、苗の生育が進んでいない。日照不足で湿度が上がり、一部果実や茎にかびが発生。このため4月に入ってもハウス内で暖房をたいて、湿気を減らす対策に取り組む。同JAは「まるで梅雨のよう。これまでこんなことはないのに」と苦悩する。果樹の産地、和歌山県JA紀の里営農センターも「着花不良や授粉がなかなかできずに困っている」と明かす

参考 日本農業新聞 2015.04.16

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