日本人とドイツ人「夜」の国民性

日本人から見ると、似たような国民性だと言われながら、クールで取っつきにくい印象もあるドイツ人。経済・産業面では互角と言える両国だが、「夜の生活」については、果たしてどうなのだろうか。

夢中でしてくれるんです

 「ドイツ人は本当に紳士で真面目です。口説き文句も合理的で、初めての夜、彼は『僕はとても興奮していて、お互いに好きあっていることは分かっている。今、セックスをしない理由がないじゃないか』って

 セックスに関しても、一つ一つに実直に取り組むし、それでいて緻密私が感じるためなら執拗に責めてくれるし、自分が気持ちよくなるために努力も惜しまない

こう語るのはドイツ人男性と結婚し、現在は夫とベルリンに住んでいる本条加奈さん(31歳、翻訳業、仮名)だ。加奈さんにとって初めて付き合う外国人男性だっただけに、日本とドイツの「夜の国民性」の違いに驚いたという

ドイツといえば高い技術力に裏打ちされた世界に冠たる工業立国だ。勤勉な国民性として知られ、日本人とも共通点が多い。そもそも、日本の近代化はかつてドイツの諸制度を参考にして進められたこともあり、日本人にとってはなじみ深い国と言える

言わば、「昼の顔」ではよく似ている日独両国。では「夜の顔」はどうなのだろうか。

調査をすると、セックスの面では意外なほど大きな違いがあることが判明した

前出の加奈さんが続ける。

ドイツ人ってとにかくクンニが好きなんですが、それが尋常じゃないんです平均して20~30分くらい、長い時には1時間近く舐められ続けることがあるんですよ

初めは驚きと恥ずかしさで抵抗があったのですが、丁寧にほぐすように舐めてくれるので徐々に気持ちよさが勝っていくんです何より彼の『舌技』がすごい。舌の先ではなく、表面を使って撫でるように優しく舐めてくれるし、舌も大きいから外陰部全体が満遍なく刺激されるんです

 夢中で舐めてくれるというか、目標を定めたらそこに向かってずっと同じことをやり続けるんですね。でも、これだけ熱心に舐めてくれるのって、なかなかできないことです

快感にひたすら貪欲

 イギリスのコンドームメーカー「デュレックス」社の調査によれば、クンニを積極的に行うのは日本人とフランス人、そしてドイツ人だというしかも、ドイツ人の場合は男性だけではなく、女性のほうも女性器を舐められるのが大好き、という傾向があるようだ

では、これが日本人だったらどうだろう。前出の加奈さんは、日本人男性の場合についてはこう語る。

日本の男性は、キスから始まり、首、胸、女性器といったように、上から下に向けて順番に愛撫していく感じですよね。確かに丁寧に舐めてはくれるんだけど、ちょっと形式的というか、もう少しでイケそうってところでやめてしまうことがあるあんまりやると嫌われると思うのか、自制してしまうんでしょうね

本当はもっとしたいけど、パートナーはそれを望んでいないかもしれない……。日本人は考えすぎなのか。その点、とにかく舐めるのが好きで好きでたまらない、というドイツ人の情熱に、舌技に関して言えば及ばないのかもしれない

クンニだけでなく、ドイツ人男性はアフターケアも万全という

ドイツは昼間スピード感をもって働く分、夜はゆっくり過ごしたいという人が多いんです。そういう背景もあって、いまドイツではスローセックスが流行しています

行為が終わったあと、優しく髪を撫でてくれたり、『可愛かったよ』と褒めてくれたりして、女性はとても幸せな気分になります日本人は後戯を疎かにしがちでしょ。正直、この点においてはドイツ人の圧勝ですね」(同・加奈さん)

セックスを積極的に楽しむという意味で、ドイツの女性も快感にはかなり貪欲だ

『世界のエッチなトリヴィア』の著者で、自身もドイツ人女性との経験があるライターの石原行雄氏が語る。

ドイツ人女性は正常位でピストンをされているときも、自分でクリトリスを愛撫したり、男性の乳首をいじったりするんです日本では、男が女を気持ちよくして当たり前みたいな部分もありますがドイツ人は一緒に気持ちよくなるためなら男女両方とも行為に没頭し、快感を高め合うんです

道具」も大活躍

 いわゆる「ジャーマン・セックス」の真髄は、どうやらこのあたりにありそうだ。お互い、そのセックスで最高の快楽を得るために努力と労力を惜しまない男性が情熱的に求めれば、女性は全身でそれに応え、さらに男性が高みへと導く「性のゲルマン魂」は、ベッドの上でいかんなく発揮されるのだ

加えて、もの作り大国であるドイツらしく、彼らはアダルトグッズを駆使したセックスにもためらいがない

実際にドイツ人男性の手ほどきを受けたことのある矢内瑞穂さん(34歳、外資系企業勤務、仮名)が語る。

「初めてのセックスはラブホテルだったんですが、彼、いきなりホテルの自販機でピンクローターを買ったんです

もう、びっくりしちゃって。私が『いきなり、それ使うの?』って聞いたら、『アダルトグッズを使うのはドイツでは普通のこと。これでキミも気持ちよくなれるなら、使うべきだよ』と真剣な顔をして言うんです確かにそのほうが気持ちがいいし、実際すぐにイッてしまいました

日本の男性って、自分の力で女性を気持ちよくさせないといけないと思っているから、最初のセックスで道具を使うことに抵抗を感じる人が多いですよね。でも、ドイツ人はそういう見栄よりも実利を重要視しているように感じます

 もともとドイツはヌーディスト文化が盛んで、性に開放的な土壌がある。ブティックが軒を連ねる大きな通り沿いにアダルトショップがあるのも珍しくない。また、前出の瑞穂さんは、彼に連れられドイツ各地を旅行した際、そのオープンぶりにカルチャーショックを受けたという。

列車で移動をしている間に、昼間から自宅やマンションのバルコニーでセックスをしているカップルを何度も見ましたドイツの人って、そういうのが平気というか、セックスをスポーツみたいに考えているところもあるみたいです

 大胆、かつ合理的。この精神に基づいたドイツ人の性に対する欲求は止まるところを知らない

留学中にドイツ人大学生と交際していたことがある、中野眞由美さん(25歳、総合商社勤務、仮名)は、恋人から思いがけない要求をされ、その時は赤面してしまった。

「私にとって彼が初めて付き合った外国人だったので、アンダーヘアに関しては特に処理はしていなかったんです。そうしたら初めてセックスする時に、私のアソコを見た彼が、いきなり『マインゴット! 』(Mein Gott、「なんてこった」の意)って

軽く整える程度の手入れしかしていない日本人の下半身がよほど衝撃的だったんでしょうね。『まるでジャングルじゃないか。これは剃らなければいけないよ』と言われて……もちろん最初は嫌がったんですけど、何度もしつこく言ってきて、とうとう『僕が剃るから』って。それで彼氏に全部綺麗に剃ってもらったんです

ドイツではほとんどの女性がアンダーヘアを剃っており、最近は男性でもそうする人が増えているという

清潔に保つ。男性器を大きく見せる。フェラチオをしやすくする。深く挿入することができる。無毛にすることは、もちろん文化的な側面が大きいが、セックスにおいても恩恵は多い。ここにもより高い快感を追求するドイツ人の国民性が現れている。

ドイツの大哲学者、フリードリヒ・ニーチェの格言に、「深淵を覗くとき、深淵もまた、あなたを見ている」という言葉がある。これは一種の警句だが、少なくとも当のドイツ人は、「性の深淵」を覗こうとすることに何の躊躇もないのではないだろうか。

ちなみに男性同士を比較した場合、ドイツは「体格」の部分でも日本より有利な状況にある

世界各国での調査を基に男性器のデータを集めた海外のWebサイトによると、勃起時の男性器の平均の長さは日本人が12・60cm、ドイツ人は14・48cm。平均身長にしてみても、7cm近くドイツ人のほうが高く、体格の壁はそう超えられるものではない

こうして見ると、ことセックスに関して言えば、日本サイドはドイツに対して劣勢に立たされているようにも思える。

しかし、だからと言って悲観することはない。ニーチェの言う「深淵」は、性の世界ではもっと奥深く、果てしないものだからだ。

前出の瑞穂さんは、「ドイツ人のセックスも完璧じゃないですから」と笑い、こう語る。

スポーツみたいな感覚でやっているせいか、ドイツ人のセックスは、なんていうか淫靡な感じがないんですよ。たまには変わった体位やプレイをして、違った一面を見せて欲しいんです。そういう意味では、ドイツ人のセックスに物足りなさを感じてしまうこともあります

今回、話を聞いた女性たちは、セックスの際のドイツ人男性の真摯な姿勢を褒めつつも、総じて「意外性はなかった」と評している。体位や挿入に関しては「ノーマル過ぎてつまらない」という声もあった

日本人も負けていない

 「アメリカ人などはポルノ映画のような肉弾戦が好みで、汗をいっぱいかくようなセックスをしますよね。一方、ドイツ人は無駄な動きや派手な体位、マニアックなプレイをするわけでなく、いたってシンプルにオーソドックスに気持ちいいことをするんです。合理主義の極みと言えるかもしれません」(前出・石原氏)

合理的でシンプル。それは常に良いというものではない。単純な分、飽きられやすく、マンネリズムに陥りやすい

その点、日本人は性に対する探究心や創造性、柔軟性に関しては世界最高レベルと言っても過言ではない。日本文化が大好きなドイツ人女性のレナ・シュミットさん(26歳、東京在住、仮名)は日本人男性のバリエーション豊かな性技に驚いたという

2歳上の日本人の彼氏はセックスするたびに違う体位をしてくれるの。この前も『エキベン』という体位に挑戦してみたわ。初めは不安定でちょっと怖かったけど、深く繋がれるから奥が刺激されてとても良かった。そのときは、どうして彼が体位に詳しいか分からなかったけど、後日、書店で四十八手がイラストで説明されている本を偶然見つけて読んでみたの。

思わず『ガイル! 』(Geil)って叫んでしまったわ。これはドイツの若者が感動を表す時によく使う言葉で、日本でいう『ヤバイ』に近いかな。

 私の国では体位はせいぜい3~4つ日本では古くから、こんなにも体位の研究がされていたのね。本当に驚いたわ

大胆さや大きさで不利はあっても、どんな時でもパートナーを飽きさせない「おもてなし」の精神において、日本人は古来、圧倒的にきめ細やかなのだ

恋愛やセックスに関するコラムを執筆している著述家の尾谷幸憲氏は、思いやりがある至れり尽くせりなセックスこそ、日本のお家芸だと語る

「たとえば、多くの日本人男性は指を使って女性を愉しませる際、Gスポットを意識して、膣壁上部に指の腹で圧をかけたり、指を『く』の字に曲げることで、程良い力でGスポットを刺激するように動かしますドイツの男性は、これほど繊細なことはしません。相手の反応を見つつ、細かい手技で女性を悦ばせることができるのは日本人男性ならではです
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そもそも、Gスポットとはドイツの産婦人科医で女性器研究でも有名なエルンスト・グレフェンベルク氏にちなんでつけられたものだその知識を、日本人は本家のドイツ人よりはるかに上手く使いこなしているのであるあらゆるものを柔軟に受け入れ活用する懐の深さ。それこそ、日本人の真骨頂と言えるだろう

セックスにおいては、似ているようで似ていなかった日本人とドイツ人。ドイツはまぎれもない強敵だが、「性の大和魂」を発揮して臨めば、活路と勝機は十分にある

参考 現代ビジネス2015.09.05

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