日本ブランドが重要な太陽光

トリナ・ソーラー・ジャパンは、2016年3月2~4日に開催された第9回 国際太陽電池展(PV EXPO 2016、東京ビッグサイト)で、2つの発表を行った。1つは、住宅向けの太陽電池モジュールの新製品「SPLITMAX」(図1)。もう1つは、太陽電池モジュールの「メイド・イン・ジャパン」ブランド販売戦略だ

SPLITMAX(DC06.08(II))の特徴は、内蔵する単結晶太陽電池セルをレーザーによって2分割したこと。同社のこれまでの単結晶太陽電池セルの寸法は、156ミリメートル(mm)×156mm。これを156mm×78mmの2つのセルに分けた。従来品よりも出力が高まるという

太陽電池セルを2分割した理由は2つある。1つはセルを小型化することで、機械的な性能を高めること。もう1つは表面電極に流れる電流の量を2分の1に抑えることで、電気抵抗として失われる発電ロスを減らすこと(図2)。セル間を結ぶ配線に低抵抗リボンを採用することで、セル間での発電ロスも抑えたという

yh20160317Trina_current_590px.jpg図2 セルを分割することによる優位点

発電性能を高める工夫はもう1つある。電極上面の表面加工と、セル間のバックシートの表面加工である(図3)。いずれも入射光を乱反射させることで、太陽電池表面のカバーガラスから再び外部に光が反射することを防ぎ、太陽電池内部に取り込む光の量を増やす工夫だ

yh20160317Trina_light_590px.jpg図3 太陽電池セル以外の部分で入射光を逃がさない仕組み

 展示会場では、農業と発電の両立を狙うソーラーシェアリングなどに向けた多結晶シリコン太陽電池モジュール「DUOMAX(TSM-PEG40.07)」も展示した(図4)。図4のモジュールは太陽電池セルを40枚内蔵し、出力160~170ワット(W)をうたう。変換効率に換算すると最大10.6%である

yh20160317Trina_DUOMAX_300px.jpg図4 DUOMAX(40セル品)の外観

ソーラーシェアリングを実現するには架台上に間隔を広く空けて、小型の太陽電池モジュールを設置することが多い

DUOMAXは違う。まず、寸法は同社の他の太陽電池モジュールと同じ1658mm×992mmだ。一般的なモジュールとの違いは、モジュール内のセルの間隔を広く取り、透過光を増やしたこと。もう1つはモジュールの縁にあるフレームを外し、厚さを6mmに抑えたことだ最後に、太陽電池セルを厚さ2.5mmのガラスで両面から挟み込んだ

屋根の下で農業ができる

yh20160317Trina_map_250px.png図5 兵庫県養父(やぶ)市と事例の位置

事例もある。住環境システム協同組合が棒垣集合発電所内試験サイト(兵庫県養父市)に設置したソーラーシェアリング用のDUOMAXだ(図5)。

同サイトでは木製の柱と梁(はり)*1)を配置し、地上2~3mの高さに最大出力250W(セルを60枚内蔵)のモジュール(DUOMAX TSM-PEG5.07)を40枚設置した。

最大出力は10kW。2015年7月に完成し、2015年9月の実発電量は742キロワット時(kWh)。年間発電量9124kWhを見込む

2015年の夏季から秋季にかけてトマトやナス、キュウリ、サツマイモを収穫したという。DUOMAXは切れ目がない「屋根」であるため、雨天時に農作業ができることも分かった

生産規模と技術開発で際立つ

中国Trina solarは太陽電池の生産規模と最先端技術の開発という両面で際立った企業だといえるだろう。1997年に太陽光システムインテグレーターとして創立、その後、シリコン原料の製造から大規模太陽光発電所の管理運営サービスまで事業の垂直統合を進めていった。2015年には太陽電池モジュールの年間出荷数量(GW換算ベース)が5.74GWに達した*2)2015年末までの累計出荷量は20GWを超えた

「世界最大の太陽電池モジュールメーカーであり、業界トップの太陽光発電プロジェクト開発・運営会社である」と主張する。他社の数値が出そろっていないため、2015年のシェアや順位を検証することはできないものの、トップグループに位置することは確実だ

変換効率も高い。多結晶シリコン太陽電池セルでは、開口部面積239.7平方センチメートル(cm2)の研究開発品で21.25%*3)を達成。多結晶シリコン太陽電池モジュール(開口部面積1万5126.5cm2)でも19.2%という数値を発表している。Progress in Photovoltaics誌(米John Wiley&Sons)によれば、2015年11月時点でいずれも世界一の数値だ

メイド・イン・ジャパンをうたう

れほどの強みがあるにもかかわらず、同社は「メイド・イン・ジャパン」ブランドの太陽電池モジュールを日本の住宅市場に投入することが必要だと考えている。2016年3月2日には、太陽電池モジュールに関するOEM生産を国内企業に委託することを発表した。2016年4月から2018年12月までの長期契約であり、年間約130MW相当という規模である

OEM生産の委託を受けたのは、エヌ・ピー・シー。同社は太陽電池製造装置メーカーだ。トリナ・ソーラー・ジャパンによれば、太陽電池の受託加工事業の実績があるため、生産委託契約を結ぶことになったという。エヌ・ピー・シーの松山工場(愛媛県松山市)で加工後、国内に出荷する。

 トリナ・ソーラー・ジャパンは、2016年5月の本生産開始に向けて、製造ラインの最適化や仕様変更、テスト生産など生産準備を開始する

スマートエネルギーWeek 2016  2016.03.17

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