日本の緑茶は復活するか→海外和食ブーム

ユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録された影響もあってか、海外では和食がブームとなっており、これに連れて「緑茶」への関心が高まっている。国内の茶業関係者が海外に目を向けている背景にあるのは、こうしたブームに加えて、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の大枠合意だ

というのも、この合意により茶の関税も協定発効直後にゼロになる見込みだからだ。シンガポールやカナダといった主な輸出先は現行でも関税がかからないため、恩恵は限定的との見方もあるが、ベトナムに対しては40%、メキシコには20%かかっているほか、米国向けにはフレーバーティーに6.4%かかっている関税がなくなれば、その影響は小さくない

■西海岸で「お~いお茶」人気、スタバも茶専門店を買収

海外での緑茶人気を裏付ける一例は、米国西海岸にある。シリコンバレーやロサンゼルスのIT企業を中心に、伊藤園の「お~いお茶」をはじめ、キリンの「生茶」などのペットボトルの緑茶飲料の販売が数年前から人気を集めているのだ

た緑茶飲料人気に目をつけたスターバックスは、茶専門店Teavanaを買収。こちらは東海岸のニューヨーク、高級住宅地アッパーイーストサイドにオープンさせている。ここでは煎茶や玉露を提供している。今年9月現在では全米で300店に達する勢いで拡張しており、1000店舗の展開を目標としているという。

■クールジャパン機構も着目、長崎県の会社と共同で2.6億出資

日本文化を海外に売り込む官民ファンド、海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)は米国に日本茶専門のカフェを展開する現地事業会社を設立するために2億6000万円(49.9%)の出資を決定している。もちろん単体ではなく、日本茶の輸出会社であるマエタク(長崎市)を中心に、カステラの文明堂総本店など12社の長崎県内企業でつくるグリーンティーワールドホールディングスと共同で行うものだ

ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンノゼなどの都市に、10年間で50店舗を出店する計画で、年内にまず1号店を出す予定だ

メニューは煎茶、ほうじ茶、抹茶エスプレッソ、キャラメルほうじラテ、スパークリンググリーンティーなどの本格的。これらを長崎の波佐見焼の茶器で提供し、高い健康意識に対応するばかりでなく、本物を大切にするライフスタイルにもこたえるのがコンセプトという

■国内の緑茶リーフ市場の極めて厳しい現状

日本国内の緑茶の市場は、リーフ(茶葉)の1世帯当たりの緑茶の消費量(総務省家計調査)が最近10年間で70%に減少している減少したリーフ消費の分は緑茶飲料(ペットボトル売上3100億円)に吸収されている状況だ

生産ベースでも10年前の84%に漸減、緑茶販売農家戸数も10年間で半減して2万8000戸となってしまっている

一方で、海外の緑茶ブームの影響で輸出は少しずつながら順調に拡大しており、貿易統計によれば2014年は10年前の4.6倍の78億円(3516トン)を輸出するなど、多少の光も見えはじめている

もっともこの量は、明治初期の緑茶輸出の大ブーム時の2万1000トンに比べれば7分の1でしかなく、まだまだ伸びしろは期待できそうである

■鹿児島の緑茶メーカーが独著名ブランド「KEIKO」を販売

鹿児島の緑茶メーカー下堂園はEUのお茶の集散地となっているドイツで最も著名なブランド「KEIKO」を1998年から販売している。世界で最も厳しいドイツの残留農薬規制をクリアした有機栽培の緑茶として、市場導入から地道に改善を重ね17年をかけて大成功をおさめている

 緑茶の世界市場で最も重要視される「健康に良い食品」というコンセプトにとって最も大切なものは、緑茶の安全性である

その点において、日本茶は現在いくつかの問題を抱えている。それは日本と異なるEUの残留農薬規制基準にいかに対応するかということ、有機栽培への対応、そして東日本大震災後の放射線被ばく問題への対応だ。

「KEIKO」は長い時間をかけてしっかり対応して現在の評価を得た。日本の他のメーカーがそのような辛抱強い対応をとれるのだろうか。さらには今後の日本農政の規制改革による支援などが最大のポイントとなるだろう。

■スタバの影響で日本茶が見直される日?

スターバックスは近い将来、日本国内でもTeavanaの店舗展開を検討するとしている

米国のブランドであるスタバが日本に造った和風のカフェによって、日本人が日本茶、緑茶の良さを再認識する日がやってくるのだろうか? いずれにせよ、衰えつつある日本茶農業が再び活性化するのなら、悪いことではないだろう

参考 (ZUU online 編集部) 2015.10.028

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