慶大、ips心筋細胞作製を短縮

短期間で「未分化」除去。17年をめどに臨床研究の申請目指す

 慶応義塾大学医学部の福田恵一教授らはヒト由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)から心筋細胞を作る際、将来がん化の恐れがある未分化の幹細胞を従来比半分以下の3―4日で除去する手法を開発した特殊な培養液を使って未分化幹細胞を死滅させ、心筋細胞のみを選別する手法を改良した心筋梗塞などの患者に安全性の高い心筋細胞を移植する心臓再生医療への貢献が期待される

成果は1日、米科学誌セル・メタボリズム電子版に掲載された。今後、心臓再生医療の実現に向けて医薬品医療機器総合機構(PMDA)との相談を開始。2017年をめどに学内の特定再生医療委員会に対して臨床研究の申請を目指す

iPS細胞やES細胞から心筋細胞を作る場合、心筋細胞に分化しきれない幹細胞が残る未分化の幹細胞は多能性を保持し、がん化の危険がある

福田教授らは12年に、未分化幹細胞はエネルギー源としてブドウ糖が欠かせないのに対し、心筋細胞はブドウ糖がなくても乳酸があれば生きられることを発見ブドウ糖を含まずに乳酸を加えた培養液を使い、心筋細胞は生かしたまま未分化幹細胞を10―14日かけて死滅させる手法を開発した

らに短期間で未分化幹細胞を死滅させるため、ブドウ糖と同様に細胞のエネルギー源となるアミノ酸を培養液から除去する手法を着想複数のアミノ酸を試す中、グルタミンを除去すると未分化幹細胞を3―4日で死滅させることができた

福田教授は「網膜などのほかの細胞移植と比べて、心筋細胞の移植は1000倍から1万倍もの大量な細胞が必要になる高純度で安全な心筋細胞を、どれだけ短期間で得られるかが課題になっていた」と説明する

ニュースイッチ2016.04.02

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