性感染症の蔓延→35歳以上も拡大

ここ数年で性感染症(STD=sexually transmitted disease)が増えています。性感染症は、性行為あるいはその類似行為によって感染する病気のこと。以前は一般的に性病と呼ばれ、代表的な病気は淋病や梅毒など「性風俗などで遊んだ一部の人たちがかかる病気」というイメージでした。淋病や梅毒はかかってしまうと症状も気づきやすく、早めに治療ができたため、感染はそれほど拡大せずにすんでいました。

しかし、最近は増えているのは、自覚症状のほとんど現れない性感染症です。淋病や梅毒などが少なくなった代わりに、性器クラミジア感染症や性器ヘルペス・尖型コンジローム・エイズなど、新しい性感染症が増加しているのです多くは感染しても顕著な症状が出ないため、気づかないうちに人から人へ、感染の輪を広げるという深刻な状況を生み出しています今や性感染症は一部の人がかかる特別なものではなく、普通に生活していて一度でも性行為をした経験があれば、誰がかかっても不思議ではない病気だといえます

■自覚症状が現れにくい性器クラミジア感染症

今、女性に感染が増えているのが性器クラミジア感染症です。この病気は、女性の側が特に自覚症状が現れにくいため、気づかないうちに重症化しているケースもあります性器クラミジア感染症の患者はとくに10代後半~20代後半の若い世代に多く、10代後半の感染者では男性の2倍以上が女性という驚くべき実態もあります。こうしたデータに表されている数値は病院を受診して診断された患者数ですから、治療をしていない感染者はこの約5倍いると推定されています

クラミジアがなぜ女性に増えているのか? それは女性の性器は内側がすべて粘膜に覆われているため、感染しやすい構造になっているからです。また、膣・子宮・卵管などがすべてつながっているため、膣から感染して炎症を起こしても、それが子宮・卵管・骨盤・腹膜へと感染する恐れもあります。先ほども書きましたが、女性のほうが症状に気づかないことも多く、そのまま放置すると、不妊症や流産、子宮外妊娠などを引き起こす事態にもなりかねません

■現代の性パートナー事情が拡大の原因

クラミジアを始めとした性感染症が増加している要因としては、一生のうちで複数のパートナーとの性行為があります。また短期間でパートナーが変わるといった現代のセックス事情が関係しています。さらに、性感染症の予防法や対処法について知らない「無知である」という問題でもあります。

若い世代が未熟さゆえに無知なケースに関しては、大人世代の積極的な啓蒙が必要ですが、実は35歳以上の大人世代の感染者も確実に増えているのです

ひとつは、性的なこと全般に関する無知の問題があります。社会保障人口問題研究所の結婚に関する調査によると、35歳くらいまでの段階でなんと25%の男女に性経験がないという結果が出ています

とある結婚相談所では、未婚高齢男性には「恋愛逃避症候群」があり、それを克服するプログラムを作ったということ。初めての失恋がショックでそれ以来恋愛できない、つまり性的経験がない。そうした場合、性交渉の相手がコマーシャルセックスワーカーとなるわけです。性風俗現場も性感染症が蔓延する要因のひとつです

そして、残念ながら結婚していたからといって安心とは限りません。女性のクラミジアが発覚する機会のひとつが、HIVを始めとした一通りの検査をする妊婦健診なのです。もし発覚したら、せっかく喜び合っているパートナーとのとの関係に水を差してしまう……と黙ったまま女性の側だけ治療しても、夫婦生活がある限りピンポン感染してしまいます。「あなたが原因よ!」と詰め寄っても、これから妊娠・出産・育児を協力し合う者同士、あまり建設的ではありません。

知り合いの産婦人科医に「妊婦健診でクラミジアが見つかったらどう対処してますか?」と聞いたら、「“喧嘩両成敗、はい二人で治そう~”といってサラッと錠剤を処方しますけどね」とのことでしたね

■子どもたちにも正しい対処方法を!

話を若い世代に戻すと、性交体験のある男子高校生の7.3%、女子高生の13.9%がクラミジアに感染していたとのことです欧米の同様の調査では、高校生の感染率は1~3%が通常。アメリカなどではコンドームの使用に関しての啓蒙が行き届いているのが要因だと思われます。それにしても、日本の値は際立って高く、これは国際社会でも問題視されています

子どもたちが性的セルフケアの正しい知識を持っていないと、将来、子どもたち自身が不妊症になってしまうことも考えられるのです。だからこそ、まずは子育て世代が正しく対処できる大人になる事が第一歩ではないでしょうか?

参考 ALL About 2015.01.17

 

【関連する記事】