従来の説よりも10億年早く誕生か?

地球上に複雑な生命体が誕生し始めたのは、従来の説を10億年近くさかのぼる15億年以上前だということを示す化石を発見したとの研究論文が17日、発表された

 だが、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された論文をめぐっては、瞬く間に論争が巻き起り、信頼できると評価する科学者もいれば、全く納得できないとする科学者もいる

 生命は原始スープから最初に誕生してから数十億年は原始的な単細胞のままだったが、やがてそれらの単細胞の一部が、コロニー内のクローン細胞群のような集合体を形成した

 科学者らは、そうした集合体の形成が発生するまでの期間の後期を、進化が止まっていたかのように思われたことから「退屈な10億年」と呼んでいる

 だが、ある時点で、複雑性を持つ多細胞生物(複合生物)への大きな進化が起きた。これはほぼ間違いなく、生命の出現に次いで2番目に重要な出来事と考えられる。

 この進化によって漸次的に、これまで地球上に存在したすべての動植物が誕生してきた

 それぞれが膜で覆われた遺伝物質を含む核を持つ分化した細胞から成る「多細胞真核生物」が出現した正確な時期がいつかという問題は長年、科学者たちの感情を刺激してきた。今回発表された論文は、議論をさらに過熱させるに違いない。

中国で167個の化石を発見

 中国・南京地質古生物学研究所(Nanjing Institute of Geology and Paleontology)の朱茂炎(Maoyan Zhu)教授は、AFPの取材に「われわれの発見により、肉眼で確認できる多細胞真核生物の出現の時期が、従来の研究より10億年近くさかのぼることになる」と語った

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 化石が発見されたのは中国・河北(Hebei)省の塩山(Yanshan)地域で、朱教授と研究チームは、計測可能な大きさの化石を167個発見したこのうち全体の3分の1は、4種類の規則的な形態のどれかに属しており、これが、複雑性を示す証拠とされている

見つかった化石の中で最大のものは、全長30センチ、幅8センチに及んだ。

 総合すると、これらは「肉眼で確認できるほどの大きさの生命体の初期進化に関する有力な証拠」だとし、「これは、初期の地球生命史に関する現在の知識を完全に刷新する」と朱教授は語った

 今回と同程度の大きさの真核生物はこれまで、化石記録には約6億年前以降にならないと登場しなかった

 一方で、今回の論文に懐疑的な専門家もいる。

 英オックスフォード大学(University of Oxford)動物学部の上級研究員、ジョナサン・アントクリフ(Jonathan Antcliffe)氏は「その化石が真核生物であり、細菌ではないことを示唆するものは何もない」と話す。

 細菌は定義上、単細胞生物で、遺伝物質を含む明確な核を持たないとされる

 今回発見された化石は、単一の複合生物というより、複数の細菌性細胞からなるコロニーに相当するものである可能性の方が高いと、アントクリフ氏は語った。【翻訳編集】 AFPBB News

AFP=時事2016.05.18

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