廃炉の時代 →解体作業 (上)

■商用炉、未知の領域へ 一部撤去も原子炉未着手

 商用炉として国内初の廃炉作業が、東海原発で進められている。隣接する東海第2原発には乾式貯蔵施設もある。九州電力は昨年12月、玄海原発1号機の廃炉計画を申請したが、実際の作業はどのように行われ、廃棄物はどうなるのか。現地を訪ね、課題を探った。

「海抜15メートル」。茨城県東海村の日本原子力発電(原電)東海原発そばにある高い壁に、青いラインが引かれていた。東日本大震災で福島第1原発に到着した津波の高さを示している

壁は、隣接する東海第2原発の非常用ディーゼル発電機を津波から守るため2011年7月、建設された「忘れてはならない教訓です」と原電担当者。震災直後、東海原発の解体作業は半年中断したが、既に再開されている

解体は01年に始まり、25年に終わる計画で、費用は885億円。発電機やタービンなど、放射性物質の汚染がない主な機器は撤去され、その建屋は倉庫になっていた。現在は原子炉建屋内にある熱交換器の撤去を進めている。

原子炉建屋は角張ったコンクリート製。中には原子炉を囲むように4基の熱交換器がある。それぞれ直径6メートル、高さ25メートル、重さ約750トン。このうち1基は13年9月に撤去を終えた。建屋内には縦長の巨大な空間ができていた。

熱交換器は稼働時、内部で冷却材の炭酸ガスが循環し、放射性物質に汚染されている。「まだ放射線管理区域があるんです」。熱交換器があった空間は、一部シートで覆われていた。

 1基目は、「この作業のため特注」された遠隔操作のロボットを使った。建屋に隣接する操作室で複数の画面を見ながら、厚さが7センチある鉄製の表面を輪切りにし、“だるま落とし”の要領で撤去した

手作業も可能だったが、「原子炉を解体するためのノウハウを蓄積する必要があり、あえてロボットを使った」という。2基目は手作業で実施する方針だ。

廃炉の作業員は50~150人程度。原電社員自らフォークリフトなどの資格を取得し「多くの工程を直営で行っている」。多くの作業は既存の機械や設備を使い「その技術の組み合わせが大切になる」と話す

商用炉では被災した福島第1の全6機と東海原発以外に、中部電力浜岡1、2号機(静岡県)が廃炉に着手。老朽化した九州電力玄海1号機(東松浦郡玄海町)など4原発5基の廃止が決まっている原電担当者は「放射性廃棄物の管理や評価の手法は、玄海でも生かせる」と説明した

ただ、東海原発は国内唯一の炭酸ガス冷却炉玄海などの加圧水型軽水炉と、福島といった沸騰水型軽水炉に二分される国内の原発とは、型式が全く違う東海のノウハウが、玄海でどの程度生かせるのかは不透明だ

東海原発では放射性廃棄物を撤去する装置の設計が遅れ、工期は当初から8年延びている原子炉の解体は19年からの予定で、比較的汚染レベルが高い部分はこれからの作業だ廃炉の時代を迎える中、商用炉の解体はいまだ、未知の領域を残している。

参考   2016.01.08

EBTTjDcq4T2smF71445577871_14455789191 (2)

【関連する記事】