廃炉の時代 →放射性廃棄物現地に埋設 (中)

廃炉作業が続く茨城県東海村の日本原子力発電(原電)東海原発から、北西に約700メートル。もともと防砂林だった場所は今、東海第2原発の防潮堤を建設するための作業領域として広場や道路が整備され、伐採した松が積まれていた。

 「放射性廃棄物の埋設も視野に入れて、買い足した敷地です」と担当者。原電は昨年7月、この場所に廃炉で出る廃棄物の処分場を建設するため、国に埋設事業許可を申請した原電自らが「廃棄事業者」となる形だ

50年ほど管理

 廃炉に伴う廃棄物は、放射能汚染レベルに合わせ5段階に分類されるこのうち放射性廃棄物として扱うのは「L1」「L2」「L3」と呼ばれる3段階で、いずれも埋設処分することが決められている

 原電が申請したのは、このうち一番汚染レベルが低いL3の廃棄物処分場L3には、熱交換器の金属類などがある処分場から受ける放射線量の国の基準値は年0・01ミリシーベルト以下で、日常生活で受ける年間の自然放射線量2・1ミリシーベルトと比較しても小さい

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 処分場の広さは80メートル×100メートルで、最大埋蔵能力は約1万6千トン。東海原発から出るすべてのL3廃棄物と、解体で使った機材などが埋設できる規模だ

 処分場では約4メートル掘った後、L3の廃棄物をコンクリートブロックにしたり、鉄製の箱に入れたりして埋め、さらに約2メートルの盛り土をする周囲には地下水位を監視する設備を設置し、人が入らないようにフェンスで囲って「おおむね50年」管理することになる

 ただ、商用炉の敷地内で大量の放射性廃棄物を埋設した前例はない処分場についての地元了解はまだ得られておらず、原電は「丁寧に理解を得ながら進めたい」と説明する。

 さらにL3より汚染レベルが高いL1、L2の廃棄物は、まだ該当部分の解体に着手していないため廃棄物自体がないが、国は「300~400年」の管理を求めている処分場のめどは立っておらず、「他の電力会社とも協力していきたい」と答えるにとどめた

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リサイクルも

 一方、洗い流したり、表面を削ったりして放射性物質を取り除いた廃棄物は、L3の一段下の「クリアランス」に分類され、全体の20%を占める一般の産業廃棄物と同じ扱いが可能で、敷地内のベンチや車両衝突防止ブロックなどにリサイクルされている

 しかし、これまでにリサイクルしたのは170トンで、クリアランス全体の0・4%にすぎず、住民の理解は進んでいないリサイクル品がある場所も、敷地内やほかの原発など“身内”がほとんどで、一般の産業廃棄物と同じ処分場に廃棄した実績はない

 福島第1原発の事故後、「汚染がれき」の引き受けは全国で問題化し、放射線リスクに対する住民の目は厳しくなっている「クリアランスは建屋のコンクリートが大半で、多くは廃炉の最終盤に出る。理解活動を続けるしかない」。原電担当者は、そう答えるのがやっとだった。

■Q&A 原発から出る「ごみ」

 九州電力は玄海原子力発電所(東松浦郡玄海町)1号機について、年内にも解体作業に着手する計画だ。原発から出る廃棄物はどうなるのだろう

 Q 原発から出る廃棄物には何か特徴があるの?

A 原発はウラン燃料を燃やしているので、人体に有害な放射線を出す「放射性廃棄物」が出るのが大きな特徴だ。政令で大きく2種類に分けられ、「高レベル」と「低レベル」と呼ばれている。

 Q どう違うの?

A 基準となる放射性物質の放射能濃度が一定の値を超えれば、すべて高レベル放射性廃棄物になる。原発でこれに相当するのは使用済み核燃料だけだ

 Q 原子炉などは、高レベル放射性廃棄物ではないの?

A 原発もほとんどの場所は「非放射性廃棄物」で、一般の産業廃棄物と同じだ放射性廃棄物は全体の1%ほどで、核燃料の近くにある制御棒や原子炉の鋼板やコンクリートなどがある。でも、区分上は低レベル放射性廃棄物だ

 Q 低レベルと聞くと、安全そうだけど。

A 低レベルの廃棄物でも放射能はあって、人体に無害ではない国は「ある程度時間がたてば、埋めた場所の上に人が住んでも問題ない程度まで影響は小さくなる」と説明している。ただ、埋めた場所を管理する期間はかなり長く、一番レベルが低い廃棄物でも50年、長いものは300~400年程度もある

高レベル廃棄物、地中深く「隔離」

 Q じゃあ、高レベルはもっと長く管理するの?

A 高レベルだと、影響が小さくなるまでには数百万年必要で、事実上「管理」はできないだから国は、人が生活しない地下深くに埋めて「隔離」するとしている。でも、埋める場所はまだ決まっていない

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参考 佐賀新聞 2016.01.09

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