廃棄ミカン→代替ガソリンに

かんきつがガソリンに――夢のような技術を三重大学大学院生物資源学研究科・田丸浩教授の研究チームが開発した

規格外や摘果でこれまで廃棄していたミカンを微生物で分解・発酵させることで、ガソリンの代わりに使える「ブタノール」に変身

バイオマス(生物由来資源)の燃料化で主流をいくエタノールとは違って熱量が高い上、タンクを傷めないため、ガソリン用設備にそのまま使えるという

・副産物は水だけ 地域循環後押し
燃料の生成過程はこうだ。傷が付いて商品価値が落ちたり腐ったりしたミカンを、微生物と一緒に皮ごとタンクへ投入。細胞を破壊して糖化させた後、別の微生物で発酵させるとブタノール7割を含む燃料になる。

実験ではミカンの搾りかす3キロから、20ミリリットルのブタノールができた。37度で保温すると10日間でできるが、保温しないと生成期間が長くなる。

きっかけは、「年中みかんのとれる町」を掲げる三重県御浜町で、かんきつの廃棄が課題となったこと。同町役場によると熊野市、紀宝町を加えた県南のミカン、甘夏類、「セミノール」の生産量は年間で計1万トンほど。選果場の段階で約300トンが規格外などで廃棄されているとみる。これを有効活用すれば、約300リットルの燃料ができると試算。摘果分や農家段階で出荷しなかったミカンも含めれば、より多くの廃棄ミカンが“宝”になる見込みだ

7月には研究チームの吉井淳治特任助教を代表取締役とした、ベンチャー企業「エコバイオフル」が発足。今後100リットルタンクで試験し、将来的にはトレーラーに600リットル規模の処理ができる設備を積み込み、移動式プラントを稼働させる計画だ。

ミカン以外に稲わらサツマイモ古紙などの有機物(木材を除く)も燃料化できる見通し。燃料化によって生じる副産物は水だけで環境も汚さない。温暖化につながる二酸化炭素も増やさないバイオマスエネルギーとして実用化を目指す。田丸教授は「農業が豊かな場所ほど、燃料となる資源が豊富にある。地域活性化に役立てばうれしい」と期待を膨らませる。

参考 日本農業新聞 2014.12.06

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