年齢とともに高くなる「睡眠薬」の実態

うつなどのメンタルヘルスの不調を未然に防止することを目的に労働安全衛生法が改正され、2015年12月1日から、労働者が50人以上いる事業所で年1回、ストレスチェック制度の実施が義務付けられた。多くの企業では今後、今まで以上にメンタルヘルス対策に取り組む必要があるではないだろうか? 株式会社インテージテクノスフィアは、健康保険組合の加入者を対象とした働き盛り世代のメンタル関連疾患と睡眠薬(※)の実態調査を実施した。調査は、ストレスチェック制度の開始を受けて実施したもので、主な結果は以下の通り。※ATC分類法(解剖治療化学分類法)にてN05B催眠剤/鎮静剤または一般名にてエチゾラムに該当する医薬品。

睡眠薬の処方率は年齢とともに高くなる

年齢別の睡眠薬の処方率は25-39歳では4%程度だが、40-44歳4.6%、45-49歳5.2%、50-54歳6.3%と加齢とともに高くなり、65-69歳では9.4%となった

■睡眠薬の処方期間は1か月以内が46.5%

睡眠薬の処方期間を尋ねたところ、1か月以内と回答したのが46.5%でトップ。3か月以内が全体の74.6%を占めた。

■処方されている睡眠薬はベンゾジアゼピン系が78.3%

睡眠薬の処方数量の薬剤タイプ別構成比では、短時間作用型(ベンゾジアゼピン系)が54.4%と最も高い。超短時間型、中間作用型、長時間作用型のベンゾジアゼピン系とあわせると、78.3%がベンゾビアゼピン系であることが分かった。

■1日の規定用量(ジアゼパム換算値15mg)以上の処方が7.6%

睡眠薬の1日あたり処方用量をジアゼパム換算値で等価換算すると、7.6%の方が1日の最大投与量である15mgを超えた処方がされていることが分かった。複数の医療機関から同様の薬剤を処方されているケースが散見された。

■うつ病治療終了後の睡眠薬処方率17.4%

うつ病治療時から睡眠薬を併用していない割合は52.6%、睡眠薬を併用しており抗うつ薬(※)の終了と同時に睡眠薬も終了した割合が29.9%。残りの 17.4%は、抗うつ薬終了後にも睡眠薬の処方を継続していた。うつ病寛解後にも残遺症状として睡眠障害が残る方がおり、その対処として睡眠薬が処方されているようだ。※ATC分類法N06A 抗うつ剤および気分安定剤に該当する医薬品。

■抗うつ薬と睡眠薬の併用により、抗うつ薬の減量達成率アップ

抗うつ薬と睡眠薬を併用している群と睡眠薬を併用していない群とで抗うつ薬の減量達成率を比較したところ、睡眠薬併用群での減量達成率は30.2%にのぼり、併用していない群の減量達成率17.8%を大きく上回ったうつ病治療の際には、抗うつ薬に加えて睡眠薬を併用することで、抗うつ薬を減量できる可能性が高くなることが分かった

■更年期障害のある人の睡眠薬処方率は19.8%

更年期障害で通院している方の年代別睡眠薬処方割合は55-59歳で最も高く24.1%、更年期障害該当者の多い45-49歳、50-54歳ではそれぞれ 16.9%、19.5%といずれも20%以下だった。40-64歳までを平均すると19.8%となるが、更年期女性(※)の約半数が不眠と言われていることを考えると、更年期で不眠症状があるにもかかわらず、適切な薬物治療を受けていない方が数多くいると推察される。※ICD10 (国際疾患分類10版)にて更年期障害(N95.1 閉経期及び女性更年期状態)に該当する疾患。

メンタルの不調は企業の生産性に大きな影響を及ぼす。企業は今回の結果で生かせるものは、自社のメンタルヘルス対策に役立ててほしいものである。

【調査方法】
健康保険組合の健康情報データ(特定健診・レセプト)の匿名化されたデータを元に分析。調査期間に医療機関にかかった20歳~69歳までの19.1万人を対象に、メンタル関連疾患と睡眠薬の処方分析を行なった結果をまとめた。
調査機関:株式会社インテージテクノスフィア
調査期間:2013年4月~2015年3月

@DIME編集部

@DIME2016.05.01

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