屋久島→エコな電力充実

世界自然遺産の屋久島(鹿児島県)は自然エネルギーが住民の生活を支える島でもある電力の99%以上が水力発電で生み出され、住民1人当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は全国の半分以下電気自動車の普及にも取り組み「CO2排出ゼロ」という壮大な目標を掲げる

●降雨、東京の6倍

月のうち35日は雨」と林芙美子が小説「浮雲」で書いたように、屋久島は雨が多い高山帯の年間降水量は、東京都の6倍以上の1万ミリ近くに達し「水の島」とも呼ばれる

その特徴を生かしたのが水力発電島内3カ所の発電所を運営するのは、九州電力などのような一般電気事業者ではない民間企業「屋久島電工」(本社・東京都)だ。1952年に設立され、今は自動車排ガスのフィルターなどに使う炭化ケイ素を製造している自社工場用の電気を水力発電で賄う一方、年約3億キロワット時のうち4分の1程度は島内の6794世帯に供給され、社会生活に使われるバックアップ用の火力発電所が稼働するのは、渇水などの緊急時に限られる

●農協などが送電

電力システム改革の最終段階として全国では2020年度から実施される「発送電分離」も屋久島では半世紀前の60年から既に本格導入されている屋久島電工が担うのは発電だけで世帯や施設に送電するのは農協など別の4事業者電気料金は事業者によって異なり、東日本大震災前は他の九州地域より高めだったが九電の原発が止まっている今は、ほぼ同水準だ

また、発電に化石燃料を使わないため、島民1人当たりのCO2排出量は年3・77トンと全国平均の約4割に抑えられている。鹿児島県関係者によると、もし島内の電気をすべて火力発電に置き換えたとすると、発電によるCO2排出量は年約2500トンから約20万トンに増え、現在年7000万円の化石燃料費は50億~60億円に跳ね上がるという。屋久島環境文化財団の小野寺浩理事長は「温暖化防止の視点に加え、経済的にも自然エネルギーに転換するメリットは大きい」と話す

屋久島でさらにCO2排出量を減らす切り札と考えられているのが、排ガスを出さない電気自動車だ県は10年度から購入時の補助を始め、14年度までに民間、公用合わせ計166台が導入された島内の全登録車数に占める割合はまだ1%強だが、全国の普及率0・07%(13年度)は大きく上回る。県担当者は「電気自動車の割合をさらに上積みするなどして、一歩でもCO2フリー(排出量ゼロ)の夢に近づけたい」と語る

参考 毎日新聞 2015.07.22

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