定説覆す→阿蘇地域に断層か?

熊本、大分を中心とする一連の地震は依然、余震が続く地震は徐々に減っていくのか、あるいは、割れ残った活断層が再び大きな揺れを起こしたり、地震域が広がったりするのかさらには阿蘇山の火山活動に影響し、新たな災害をもたらす恐れはないのか。専門家に見通しを聞いた

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■「有感」回数減少

 本震が発生した4月16日に200回を超えた有感地震(震度1以上)は5月に入り、1日40回を下回るようになった。まず考えられるのが、このまま地震が徐々に収まる流れだ

一連の地震域を「熊本」「阿蘇」「大分」の3地域に分けると、大分の地震回数は明らかに減った。名古屋大の山岡耕春教授(地震学)は「全体的には徐々に余震は減り、すぐに大きめの地震が起きる確率は小さくなる」とみる

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一方、多くの地震学者が警戒を呼び掛けるのは「熊本地域」に走る日奈久(ひなぐ)断層帯のうち前震の震源よりも南西側と、布田川(ふたがわ)断層帯のうち本震の震源よりも西側の区間だ端は熊本県水俣市や有明海などに当たる

 両区間ともに一連の地震で断層が割れ残り、特に日奈久の南西側は国の長期評価で危険性が指摘されてきた。3地域での余震の合間に、水俣市などでは今も有感地震が起きている

ただ、内陸型の大きな地震は数千年に1度など発生間隔が長い。名大の鷺谷威(さぎやたけし)教授(地殻変動学)は「地震学的には一連の余震として発生しても、数十年以内に起きても、ほぼ同時期と見なせる」と解説

福岡都市圏を走る警固断層帯の場合2005年に海側の断層が動き、福岡沖地震が発生まだ動いていない陸側断層がこれに連動し「いつ地震が起きてもおかしくない」(福岡管区気象台)状況とされる中、既に11年が経過した熊本地震でも数十年単位で警戒を要する可能性がある

■「阿蘇」で頻発

 一連の地震では、「阿蘇地域」にも断層が存在する可能性が指摘された

周辺は火山灰が厚く積もり、地表の断層跡を見つけづらい地域で阿蘇山北東部は断層の“空白地帯”とされてきた火山の近くはマグマなどの熱で地盤が温められて軟らかくなり、地震を招くひずみがたまりづらいとの定説もあった

布田川断層帯の延長線上にある)阿蘇山の北東側で地下が割れているのは明らかだ」と断層の存在を指摘する。阿蘇山の活動が活発化する動きは今のところみられていないが、今後の研究課題となる

■震源「飛び火」

 最後に熊本、阿蘇、大分の3地域から飛び火し、さらに広域で地震を引き起こす可能性を考えた。

大分で連鎖地震が起きた当初、四国側への広がりが懸念されていたが、今のところ動きはない。鷺谷教授は「慶長豊後地震など1596年の一連の地震は関西まで及んだ。400年余しか経過していないので、比較的可能性は低い」と見つつ今後の余震で「別府湾に活動域が広がれば注意を要する」と指摘する

それ以上に関連性が指摘されるのは、九州西側の海域から台湾に延びる海底盆地「沖縄トラフ」で、九州南部に影響しうる

熊本地震が起きた別府-島原地溝帯は同トラフの延長線上にある昨年11月には薩摩半島西方沖でマグニチュード(M)7・1の地震が起き、鹿児島県内で最大震度4を観測した

同西方沖では今も地震が続き、九州大の松島健准教授(固体地球物理学)は「熊本地震と何らかの関係性があるとみていい」と警戒を呼びかける

=2016/05/14付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞2016.05.14

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