孤立する若者に生きる力を→京都

ひきこもりや発達障害などで社会的に孤立する若者を支援する京都市左京区のNPO法人「若者と家族のライフプランを考える会(LPW)」が、法人としての活動を開始して5年を迎えた就労をゴールとせず、生きる力を育むことにも重点を置く。利用者は音楽やアートを通じて社会と関わり、個性を生かした仕事や生き方の形を模索している
■音楽やアートで社会と絆
数人の男女がギターやマラカスなどを響かせ、マイクの前で男性が気持ちよさそうに歌う。「次は何を演奏しようか」。時には冗談を言い合い、笑顔の絶えない時間を過ごす
音楽療法士の指導で実施する音楽療法だ他者と接することでコミュニケーション能力の向上などが期待できるアートセラピー(芸術療法)にも取り組んでいる
「やっと就労できても結局、元に戻ってしまう人は多い。人生は続くのだから、生きがいなどを見つけることでさらに踏み出せる音楽やアートは、生きていく力の下支えにつながる」。理事長の河田桂子さん(61)は強調する。
「生きづらさ」を抱え、社会との関係が絶えてしまう若者が増えている。内閣府の調査では、15~39歳で「自室からほとんど出ない」「普段は家にいるが、趣味に関する用事の時だけ外出する」などのひきこもりは約70万人と推計されている
年齢を重ねると正社員は難しく、生活を支えている親は高齢となるセーフティーネットから外れるなど、人間関係だけでなく社会制度からも孤立してしまう
LPWは、就労や親が亡くなった後の生活設計など自立支援を目的に、2010年に任意団体として発足。翌11年にNPO法人格を取得した。ファイナンシャルプランナーや社会保険労務士、臨床心理士ら多分野の専門家がサポートする
スタッフでシンガー・ソングライターのたなかきょうさん(40)は「(ひきこもる)彼、彼女らは決して特別ではない無縁だと思っている人でも明日にはそうなるかもしれない」と訴える18~30歳にひきこもりを計6年にわたって繰り返した経験がある。29歳で「やりたいことをやろう」と音楽活動を始め、その力に助けられた一人だ
「仕事=社会の中での自分の役割」と位置付け、それぞれの個性を生かした仕事を提供している。15年には就労継続支援B型事業所「あーと・すぺーす絵と音」を立ち上げた
また、利用者らがバンド「アポテーケ」を結成し老人福祉施設や歌声喫茶などに出向いて演奏を披露する
不登校やひきこもりの経験があるメンバーの風太さん(31)=仮名=は「活動は楽しく、人の輪に入っていくということに意識を持てるようになったイベントなどの予定があるので生活のリズムも整ってきた」と話す
いずれは、社会的に不安がありながらも公的支援のはざまにいる若者らが生活できるシェアハウスのような施設づくりを目標に掲げる。理事長の河田さんは「ゆるやかにつながり、支え合って生きていける環境を整備したい」と話す
相談などの問い合わせはLPWTEL075(201)8073。

京都新聞2016.04.10

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