子供の中耳炎に殺菌力の強い新薬

細菌感染などで鼓膜の内側に炎症ができる急性中耳炎は、子どもが風邪からかかることが多い病気の一つだ。近年、子ども用の新しい抗菌薬が承認され、治療の選択肢が広がった。新しい検査法も普及し、有効な薬を早く使えるようになった

静岡県富士市に住む女性(37)は昨年9月、生後4カ月の長男が耳だれを流しているのに気付いた。市内の「かみで耳鼻咽喉(いんこう)科クリニック」で診てもらうと、鼓膜が赤くはれており、重い急性中耳炎と診断された

抗菌薬を飲ませたが、炎症は改善しなかった。1週間後、2009年に承認された薬にかえることになった。この薬は殺菌力が強く、従来の抗菌薬が効かない細菌にも有効とされた

炎症は少しずつ改善し、12月上旬におさまった。一時は、鼓膜に小さな穴を開けて耳にたまったうみを出す手術も検討されたが、受けずに済んだ。女性は「できれば鼓膜の切開を避けたいと思っていたので、よかった」と話す。

急性中耳炎は、鼓膜の奥の中耳に肺炎球菌やインフルエンザ菌などが感染して炎症が起きた状態。耳の痛みや発熱のほか、ひどくなると鼓膜がはれたり、耳だれが出たりする。風邪で鼻水が鼻の奥にたまり、耳につながる管から細菌などが中耳に入って起こることが多い。乳幼児は免疫力が弱いため、かかりやすい

かみでクリニックの上出洋介院長は「冬は風邪から急性中耳炎になる子どもが増える。風邪にまぎれた中耳炎にも注意してほしい」と語る。

日本耳科学会や日本小児耳鼻咽喉科学会などによる作成委員会が13年、小児急性中耳炎診療ガイドラインを4年ぶりに改定した。中等症や重症の治療で、最初に使ったペニシリン系抗菌薬のアモキシシリンなどで症状の改善が見られなかった場合、09年承認の抗菌薬テビペネムピボキシルと、子ども向けに同年承認されたトスフロキサシンを使うことを推奨した

それでも効果が十分でない時や、耳の聞こえにくさを早く改善したい時は、鼓膜を切ってうみを取り除く「鼓膜切開」が選択肢となる。ただ、何度も繰り返すと開けた穴がふさがりにくくなることがあるという。

和歌山県立医科大の山中昇教授(耳科学・感染症学)の推計によると、15歳未満の急性中耳炎の患者で鼓膜切開をした割合が最も高いのは2歳未満で、07年で19%だった。新しい抗菌薬が使われるようになって減っていき、13年は11%になったという

山中教授は「新しい抗菌薬は重症でも比較的効きがよく、切開しなくても治せる症例が増えてきたと考えられる」と説明する。

参考 朝日新聞デジタル 2015.01.18

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