女性のアルコール依存症増→目立つ20代

女性のアルコール依存症患者が増加傾向にある社会進出に伴い、仕事の付き合いやストレス解消で酒を飲んだり、仲間うちで日常的に飲酒したりする習慣が定着してきたことが背景にあるとみられる。佐賀県内の専門医によると、20代の増加が目立ち「近い将来、患者が急増する恐れがある」と警鐘を鳴らしている

 依存症の女性患者らでつくる自助グループ「アメジスト」の研修会が4月中旬、鳥栖市で開かれた。飲酒に悩む女性や家族、医療関係者ら約90人が九州一円から参加し、片時も酒を手放せなくなって失業したり、家庭が崩壊したりした体験を患者らが打ち明け合った。長崎県の70代女性は、30~40代の18年間で23回の入院治療を繰り返し、「家族から『死んでくれ』とまで言われた」と明かした。

 国が指定した依存症拠点病院の一つ、肥前精神医療センター(神埼郡吉野ケ里町)によると、以前はアルコール依存症で入院治療を受ける女性はまれだったが、ここ数年は常時5、6人が入院している。男性が横ばいなのに対し、女性は増えている。30~60代が多いが、20代も目立ってきた。「若くして取り返しのつかないような重症の肝硬変患者もいる」という。

 厚生労働省の統計でも、習慣的に酒を飲む女性の割合は増加傾向にある。2009年の調査では20~24歳で約90%に上り、男性の80%台前半を上回った。

 仕事の付き合いや憂さ晴らしなど、男性型の飲み方をする人が増える一方、女性だけで飲酒する「女子会」も当たり前になったことが背景に挙げられている。

 女性はもともと肝硬変になりやすいといわれる。男性と比べれば体が小さく、脂肪が多いため、血中のアルコール濃度が上がりやすいことが一因とされる。

 一人飲みをするようになるほど依存症のリスクは高くなる。女性の場合、摂食障害からアルコール依存症に移行するケースも多く、過食やおう吐を繰り返し、自殺に及ぶ恐れもある。

 肥前精神医療センターの精神科医で、アルコール依存症が専門の吉森智香子さんは「女性は男性より酒が弱いという自覚が不足している。今の20代が年齢を重ねたとき、患者が大幅に増える」とみている。そうした状況を防ぐため「ストレスを酒で解消する習慣を付けないで」と呼び掛け、やめたくてもやめられない人には精神科の受診や、かかりつけ医への相談を促している。

【アルコール依存症の主な相談先】

■肥前精神医療センター=電話0952(52)3231
■佐賀県精神保健福祉センター=電話0952(73)5060
■佐賀県断酒連合会理事長・志田順司さん=電話090(2395)1016
■全日本断酒連盟九州ブロック「アメジスト」代表・溝上悦子さん=電話095(822)2303

佐賀新聞2016.05.23

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