失明危機!→突然視野が欠ける「眼底出血」

眼が見えなくなるかもしれない――そんな恐怖に見舞われて、もう5カ月目になる。

今も左眼視野の約4分の1が欠けた状態だ。その視野はクリアに見える箇所のほかは、グレーのペンキでベタッと塗りつぶしたようなそれにくっきりとわかれている。いわゆる“霧視”といわれる症状が発症以来、今もずっと続いているのだ右眼だけは視力を保っているが、医師の話では、「将来的には両眼とも視野が欠ける可能性はある」という。初診以来、なかなか病名がつかなかった。そしてやっとついたのが、「(原因不明の)眼底出血」という病名だった

そんな今にも光を失うかもしれないとのおびえと日々向き合うフリーランス・ライター(43)の私の体験を、この誌面上につづってみたい。今、眼底出血、網膜中心静脈閉塞症などの眼の病に悩む人の何がしかの参考になれば幸いだ

今でもその日の様子は鮮明に覚えている。今年4月下旬、この日、疲れとストレスはピークに達していた。そんな時、決まってあらわれるのが眼痛だった。それも左眼の眼球内をキリで外側から内側へとギリギリと刺すような痛みである。この日の朝もそうだった。

私は、痛み止めとして知られる「ロキソニン」という薬を飲み、痛みを和らげようとした。だが、薬を飲んでいるにもかかわらず、痛みは激しさを増す

痛みがピークに達したとき変化が起きたそれまでのひどい左眼痛がパッと消えると同時、チカチカと光ったような症状が続く。だが、それも“疲れ”だと思えばそれ以上、気にはならない。両眼ともきちんとみえているように思えたからだ

異変に気づいたのは、深夜、洗面台で顔を洗っていたとき。効き眼である左眼に白いモヤがかかっている。それも視野の半分くらいだ。だが、この時も「ちょっと疲れが溜っているのだろう」と思い、眼に蒸しタオルを当てて就寝した

だが、翌日になっても左眼の痛みはなくなったが、視野にかかったモヤは一向に治らない。その日の夕方、かかりつけの眼科に飛び込んだ。だが視力検査をしようにも、視野が欠けているためか、その作業は難航した。それでもようやく出た結果は視力0.01である。普段視力は両眼とも裸眼で0.1だが、左眼の視力は大きく損なわれていた。そして何より、どんなに左眼の検査でどんなに光を当てられても何も感じないことに愕然とした

眼球のなかに一枚のガラスがあり、そこに白いペンキを塗られたような感覚、そこから光がチカチカと差し込んでくる眼を閉じると、赤や緑のオーロラのような光が絶え間なく続くこれが災いして眠れない。発症翌日とはいえ、これは結構なストレスだった

医師から眼球の写真を見せてもらった。素人目にも、血管があちこちで爆発したような痕がわかる。医師の話では、「血管が破裂している様子」だという

結果、精密検査を受けるように言われ、眼科では著名な地元病院の紹介状を出してもらった。この紹介状には、「網膜中心静脈閉塞症の疑い」というひとまずの病名がつけられた。医師には、すべての予定をキャンセルし、翌日の朝一番でこの病院に通院するよう告げられた。

帰宅後、インターネットでこの病名を検索すると、女優の川島なお美さんの夫でパティシエの鎧塚俊彦さんが発症した病気だとわかった。鎧塚さんは、この病で結局、左眼を失明したという。1965年生まれの鎧塚さんと1971年生まれの私はほぼ同年代だ。失明への不安は一挙に膨らんだ。

紹介された病院では、丸1日かけて両眼の検査と血液検査を受けたそれまで高血圧の既往症はなかったが、この日の血圧は上が180mmHg、下は150mmHgを超えていた。この検査結果を受けて、今度は、血液内科で著名な病院で血液の精密検査を受けてくるよう指示された。発症以来、約5日間連続の病院通いだった。この時点でもどの医師からも明確な病名はつけられることがなかった。

血液検査結果判明後、新たに主治医となった眼科医は、他の医師を呼び、意見を求めつつ、患者である私にこう丁寧に病状についてこう説明する。

網膜中心静脈閉塞症ではありません。一時的な血圧上昇による眼底出血という診断です。今、欠けている視野は、残念ながら元に戻らないかもしれません。なぜなら、視神経の近くの血管が詰まり、破裂していたからです。今後は、食生活を改善して、規則正しい生活を心がけて下さい。それを守らなければ、もうひとつの眼も眼底出血を起こす可能性があります」

もっともその場にいた別の医師は、「出血量が多かったので、時間はかかるが体内吸収されて元通りみえるようになる可能性はある」との含みを残してくれた

受診後、「血管を太くする薬」と「降圧剤」を処方され服用した。発症1カ月後の写真撮影では、左眼のきれいな血流がある血管が映っていた。血圧も、平均して上は110~130mmHg、下は70~90mmHgと発症時に比べて、随分下がった

主治医は、「左眼の視野については、今後の課題です。2か月ごとにでも検査で様子をみましょう」という。場合によって、眼球にある硝子体に残り、固まった血液を手術で取り除かなければならないという

もちろん視神経近くの血管に病状が出たため動脈が一瞬でも詰まったのであれば、これはもう回復の見込みはないという。

とはいえ、医師のみならず、発症後、通うようになった眼科に強いと評判の鍼灸師からは、「日々、ご自身でもケアして、すこしでも体内に吸収させましょう」と発破をかけられた。毎日、鍼灸師から薦められた「ローラー鍼」でのケアを、自分で毎日10分から15分程度行っている。日常生活では、食事は高血圧を意識して塩分控えめ、食べる量も少なめにしている。酒やたばこを一切やめた。そのおかげか、体重は発症時から本日、2015年9月14日時点で、82kgから78kgに痩せた。左眼視野も随分と広がった

今回、眼底出血による視野狭窄で、私はフリーランス・ライターという職を失うことを覚悟した。もし、私が、眼痛を自覚した時点で病院に駆けつけていれば、左眼視野の一部を失うことはなかったかもしれない。おかしいと思えばすぐに受診する、これがなぜできなかったのか、今更ながら悔やまれてならない。

だが、眼底出血、あるいは高血圧とは、意外にもその自覚症状はないものだ。血圧が単に上昇しただけでは、そうそう体に何か異変があるわけではない。眼底出血にしても、私の場合、むしろ出血後のほうが痛みなどの自覚はなかった。

日頃から健康に留意し、運動をする、食生活に気を配る、定期的に血圧を測るなどし、かかりつけの医師との連携をはかっていれば、さほど大きく健康を損なうことはない。左眼視野の一部を失った今がからこそ、よくわかる。一病息災、今後は人一倍、健康に留意した生活を心がけたい

参考 dot 2015.09.15

 

【関連する記事】