太陽光発電→大規模から住宅用にシフト

過去数年、世界でもトップクラスの市場規模を誇った日本の太陽光市場の焦点が出力1メガワット以上の大規模なメガソーラー事業から住宅の屋根の上に設置する小規模なものにシフトし始めている

 中国に次いで世界第2位の太陽光パネルの需要は、こういった変化により来年以降、減少する可能性があるとブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は予測している。化石燃料の輸入価格が高い国で、太陽光を競争力の高い電源にするという変化に道筋を付ける役割を、今後は先進国ではなく、中国やブラジル、エジプト、インドといった新興国が担うようになる

高い買い取り価格が太陽光発電事業の急速な拡大を後押ししたが、買い取り価格の削減がメガソーラーから住宅用へのシフトにつながった政府は現在太陽光パネルと蓄電池を組み合わせたシステムや、燃料電池などを合わせたエネルギー効率の高い住宅の導入を推進している

自家消費のために

 太陽光発電関連事業のコンサルティング業務を行う資源総合システム(RTS)調査事業部の貝塚泉上席研究員は「政府が買い取り価格を削減することに伴い、太陽光発電は自家消費のための市場になっていく。今後、市場はメガソーラーから屋根にシフトしていく」との見解を示した

東京電力の福島第1原子力発電所の事故後の2012年7月、政府は太陽光など再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で買い取る制度を導入。BNEFによると、この制度により国内の太陽光発電設備の出力規模は15年までの4年間で37ギガワットまで7倍に増えた

政府が電力買い取り価格を削減する中、16年に新たに導入される太陽光発電設備の出力は14ギガワットになる見通し。一方で、中国では安定的な成長が予測されており、16年に19ギガワット、17年に21ギガワット、18年に23.5ギガワットと世界最大の市場規模を維持するとBNEFは試算している

4月以降、事業用太陽光の電力買い取り価格は段階的に削減され、制度が開始した4年前と比較して4割減の1キロワット時当たり24円となることが決まっている。BNEFによると、太陽光発電設備の導入は17年に前年比19%減。さらに、やや悲観的な見通しとしたうえで、メガソーラー事業の計画がなくなる18年には1.7ギガワットと同85%減少するとの見方を示した。RTSは「導入量は15年の11ギガワットで頭打ちとなり、BNEFの想定よりも緩やかなペースで減少する」と予想している。

 メガソーラーに陰り

新生銀行プロジェクトファイナンス部新エネルギー推進室の川辺雄一郎室長は、これまでの導入規模拡大の牽引(けんいん)役となったメガソーラー事業の開発は、14~17年度がピークになると指摘する。16年度末までに送電網に接続する契約を締結するよう事業者に求めた制度変更で、同年度中は相応に案件が出てくるとしている。

保有する発電設備が経済産業省に買い取り対象として認められている場合でも、17年4月までに接続契約が締結されていない場合には、再度、同省から買い取り対象の認定を取得する必要がある。12年7月以降、買い取り認定された太陽光発電所の出力規模は80ギガワット。これに対し、発電開始にまで至ったのはわずか24ギガワットだ。

 RTSの貝塚氏は「今後、国内市場の規模は徐々に安定化していく」とみており、20年ごろまでには年4.5ギガワット程度のペースに落ち着くと予想。このうちの約半分が住宅用になるとの見解を示した

京セラ、ソーラーエネルギーマーケティング事業部の池田一郎事業部長は「2、3年前は作れば作るほど売れたし、逆に足りない時期もあった」と振り返る。これまで太陽光パネルの市場規模は何もしなくても拡大するという考え方だったが、「これからは、特に住宅市場は自分たちでどう作っていくのかが勝負になってくる」と述べ、一般家庭で消費されるエネルギーの一部にどのように太陽光を組み込んでいくかが鍵になると話した。(ブルームバーグ Chisaki Watanabe)

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