太陽光バブルの終わりを告げたエネミックス

~途中省略

我が国が再エネに支払える額には、必ず上限があり、安い再エネから導入する費用対効果を考えるべきだ、ということである。換言すれば、太陽光の莫大な既認定分の取り扱いによって、効率的な再エネ最大限導入が可能か否かが決まるとさえ言える

前述の買取価格を効率的に決める方法として、太陽光導入見通しを達成するために年間250万kWの入札を行うことも考えられる現在の太陽光導入量は住宅・非住宅あわせて2131万kW(2015年1月末時点)(前掲図2)であり、現在の導入ペースから3月末の導入量は約2500万kWと思われる今回見通し小委が示した2030年6400万kWまでは残り3900万kWだから、2030年度まで16年間かけて年間250万kW導入すればよいことを意味する

コスト等検証委員会は、メガソーラーのシステム価格が、現在の29.4万円/kWから2030年度には18.5~22.2万円へ約3割低下すると推計している。もちろん、これは導入による学習効果等をもとに試算されているものの、我が国の太陽光買取価格は、欧州FIT先行国のそれと比較した場合、依然として2~3倍以上も割高であり、導入量をコントロールすることで、費用負担とのバランスをとるといった制度設計が必要である。

加えて、上限設定は国際常識である。FITの賦課金抑制には、太陽光が想定していた年間導入目標を大幅に超過する設置が進む「太陽光バブル」への対策が重要であり欧州FIT先行国(ドイツ・イタリア・スペイン・フランス・英国)の全てで、(1)買取価格の大幅な切り下げ、(2)買取価格改定時期の高頻度化、(3)導入上限が実施されている

特に重要なのは導入上限の設定である。ドイツでFITの運用を担っている連邦環境省(BMU)ですら、導入上限が実施されていれば、賦課金が高騰する等の「間違い(mistake)」が避けられていたと、導入上限を設定しなかったことを“mistake”として公式な場で言及している 。

実は、我が国のFIT法においても、「効率的な供給を行う場合に通常要する費用」に「適正な利潤」を加えて買取価格を算出するとしながらも、「我が国における再生可能エネルギー電気の供給の量の状況(中略)その他の事情を勘案して定める(同法3条2項)」という規定が存在している。買取価格を算定する調達価格等算定委員会はこれまで、導入量や目標に基づく買取価格は定められないという認識であったが、太陽光に偏重した導入が進む現状や、FIT先行国の常識を考えても、この規定に基づき、導入上限の設定を検討すべきである

既に太陽光の設備認定量は莫大であるため、買取総額を抑制する方策は限られる。それでも、莫大な既認定分についての見直し抜きにして、ミックス案が掲げる電力コストや買取総額の目標は到底達成することはできない政府が掲げる「再エネの最大限導入」は、いくら高くても何でも買い取ることではない。効率性の観点にたてば、再エネ買取総額を出来るだけ抑制するためにFITによる太陽光買取の早急な停止と、入札等の競争原理を用いた制度改正が必要である

参考 wedge  2015.06.02

 

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