大病院の近くにひしめく調剤薬局

医療機関の立地によっては出店ラッシュ! 調剤薬局の勝者は?

表通りを数えただけでも、30店舗はくだらない。東京駅にほど近いJR中央線・御茶ノ水駅近辺には、名だたる調剤薬局がほぼすべて出店しているといっていいだろう。徒歩圏内だけでも3つの大学病院や複数の大型民間医療施設があるためだ。調剤薬局は、そんなに儲かるのだろうか?

【写真・画像】大病院の近くにひしめく調剤薬局はそんなに儲かるのか? 大手5社を徹底比較

 売上高が1000億円を突破しているアインホールディングス(9627)、日本調剤(3341)、クオール(3034)、総合メディカル(4775)の4社と、まもなく株式市場から退場するアイセイ薬局(3170)を見てみよう。

●調剤薬局の収益構造

門前薬局」と呼ばれる大病院近くの店舗を中心に、全国で500を超える店舗を展開している日本調剤は、14年度に取扱った処方箋枚数は1169万枚超、1枚平均単価は1万3315円だったことを明らかにしている。同社はその見返りとして公的医療制度からの支払いを受けるわけだが、グループ売上高約1800億円のうち、国民健康保険団体連合会と社会保険診療報酬支払基金からの入金が72%以上を占め、患者負担分も含めると85%に達していた。

こうした例でもわかるように、調剤薬局の利点は公的医療制度に支えられているため代金回収がほぼ確実で、経営基盤が堅調なことである。事実、大きな利益とはいかないが、5社とも1000円の販売で30円内外から60円強の利益を確保。黒字基調である

また、原価が800円台と高いことも共通する。これは医薬品などの仕入代に加え、薬剤師など店舗従業員の人件費を含めているためだ。いってみれば、調剤薬局は店舗運営費用を原価としているわけだ

もちろん、医薬品販売による利幅が薄いのは、広く知られるところ調剤に占めるジェネリック医薬品(後発薬)の割合を高めれば実入りが増えるが、調剤薬局の収入の大半は医薬品販売によるものである。そして、薬価は国によって定められている。仕入値が経営成績に直結するため、調剤薬局は医薬卸と仕入交渉をするわけだが、1円刻みであることはいうまでもない。それでも、原価は高止まりというのが、調剤薬局ということであろう

■店舗平均売上、商品回転日数、運営スタッフまで徹底比較

各社の店舗平均像はどうだろうか。1店舗1日平均の売上高は、総合メディカルとアイセイ薬局が40万円台、クオールは50万円台、アインホールディングス(HD)は60万円台である。1店舗平均の資産価値が5000万円台と、アインHDのほぼ2倍になっている日本調剤は、大型の店舗が多いということだろう。1店舗1日平均の売上高は80万円を超す。

その日本調剤を除く4社の商品回転日数は、おおよそ19~26日と短いのも共通する。医薬品にも有効期限があるということで、医薬品の有効期限切れによるロスを回避するために、医師や医療機関の処方箋発行動向などを踏まえておくのも、調剤薬局の店舗運営ではポイントになることはいうまでもない。したがって、医師や医療機関との友好関係の構築は欠かせない

店舗運営スタッフは各社とも、4人から5人といったところだ薬剤師はキャリアを積めば700万円前後の年収になるとされる、各社の従業員平均年間給与も見ておこう。コンビニのローソンや家電量販店のビックカメラなどに出店しているクオールは、店舗と本社管理部門の人件費を開示している。それによれば、人件費総額は1000円の販売につき180円前後に相当する。実際の従業員平均年間給与は473万円(平均年齢33.9歳)である。総合メディカルは432万円(35.5歳)、アインHDは431万円(32.2歳)、アイセイ薬局は528万円(35.4歳)、日本調剤は556万円(34.5歳)である。

平均年齢とのバランスで給与水準が高いか安いかは判断が分かれるところだが、それ以上に気になるのは社歴である各社の平均勤続年数は、短ければ4年、長くても6年といったところだ。早期退職者が少なくない、ということだろう。

MONEYzine 2016.03.28

  images-3-48-150x150images

【関連する記事】