大気汚染による早死→世界で330万人

インドの調理火、米国の道路交通、ロシアの化学肥料などのさまざまな発生源に由来する屋外の大気汚染は、世界で毎年約330万人の命を奪っているとの研究結果が16日、発表された

 屋外大気汚染による死者の75%近くは、大気中を浮遊している塵(ちり)状粒子の長期間の吸入が主な誘因となって発生する脳卒中や心臓発作が原因で死亡しており、残り25%の死因は、呼吸器系疾患や肺がんであると、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された研究論文は指摘している

 インドや中国で使われている調理・暖房用の火は、なかでも最大の危険因子で、屋外大気汚染に起因する死亡の3分の1はこれが原因であると、論文共同執筆者の独マックス・プランク化学研究所(Max Planck Institute for Chemistry)のジョス・レリーベルド(Jos Lelieveld)氏は指摘した

 今回の研究で導き出された最新の数字は、世界保健機関(World Health Organization、WHO)が2014年に発表した報告書の裏付けにもなっている。同報告書では、屋外大気汚染に起因する死者数として今回と同様の数字が挙げられており、またそれとは別に、住宅や他の建物内での汚染が原因で毎年430万人が死亡しているとされた

 国際研究チームは今回、より厳しい規制を適用しない限り、室外汚染による死者数は、2050年までに660万人に倍増すると思われるとの予測を発表。この予測についてレリーベルド氏は、「このような大気汚染による早死の増加を回避したければ、集中的な規制措置が、特に南アジアと東アジアで必要になる」と記者団に対して語った。

■死を招く砂漠の砂塵

 レリーベルド氏はまた、農業用化学肥料の「興味深い」関与についても強調している。

 ロシア、米国東部、東アジアなどにおける2.5ミクロン以下の微小粒子状物質(PM2.5)の大気汚染はその大半が農業物資に起因している。1ミクロンは、100万分の1メートルだ。このPM2.5は、化学肥料から放出されるアンモニアと、自動車の排気ガス中の危険な硫酸塩や硝酸塩が結合してつくられる

研究チームによると、欧米諸国ではこの結合反応が致命的な問題になっている。大気汚染関連の死亡のうち、排気ガスを原因とするものの割合は、世界平均が約5%であるのに対し、英国、ドイツ、米国では約20%に達していることが、研究チームによる試算で示唆された

 研究では、大気汚染度の測定結果、人口と保健に関する統計、汚染大気物質を吸入することの健康リスクに関するデータなどを組み合わせるコンピューターモデルが使われた。

 過去の研究は、主に欧米での条件をベースに行われていたが、今回の研究では、中国の一部など、より汚染度の高い地域での各種リスクに関するデータも組み込まれているため、これまでで最も完成度が高いとレリーベルド氏は説明した。

 地球上の致命的な大気汚染の発生源となっているのは、人間の活動によるものばかりではない。大気汚染による死者の少なくとも10人に1人は、砂漠の砂塵に関連していると研究チームは補足している

参考  AFPBB News  2015.09.17

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