地震酔い→発症者増加

余震が続く県内で、何もなくても体が揺れていると感じる“地震酔い”の症状を訴える人が増えている。医療機関の調査によると、症状に悩む多くの人は避難所などで生活。ストレスのたまりやすい環境が影響しているとみられ、専門家は「安心して体を休める場所の提供が必要」と指摘している

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宇城市の松橋耳鼻咽喉科・内科クリニックを4月19~28日に受診した人のうち、11~89歳の計48人に地震酔いの症状が見られた。内訳は男性8人、女性40人。

このうち、38人は4月14日の地震発生以前からめまいの症状で通院していた患者で、地震後に吐き気を伴うなど症状が悪化。10人は地震の後に新たに体のふらつきなどを覚えた地震酔いの症状がある48人のうち、75%に当たる36人が受診時点で車中泊や避難所生活をしており、自律神経が乱れている人が目立った

日本めまい平衡医学会専門会員で同クリニックの松吉秀武院長は、相次ぐ余震で平衡感覚をつかさどる三半規管に異常な負荷が加わり、さらにストレスがたまりやすい生活環境も影響していると分析症状が悪化したり、新たに発症したりする患者は全県的に広がっているとみている突発性難聴を発症する患者も地震前に比べ増えているという

最初の震度7を観測した4月14日以降、震度1以上の地震は1200回を超えた。県内では依然1万人以上が避難所で生活し、車中泊を続ける人も多い

松吉院長は「めまいの患者はストレスへの耐性がもともと弱い人が多い」と指摘。「精神不安が続くと治りにくくなる仮設住宅の建設など、少しでも不安を取り除ける環境づくりが急務だ」と話している

■体動かし症状軽減を 「東日本」でも多数が経験

 4月16日未明にあった最大震度7の「本震」後、車で8日間寝泊まりしたという熊本市の美容師の女性(21)は、1月にめまいや難聴の症状が出る耳硬化症の手術を受けたばかり。治まっていためまいが“地震酔い”で頻発するようになり、聴力も落ちた。

体が常に揺れているような感覚が続き「ふとした瞬間に『揺れている』と思っても、ペットボトルの水を見たら揺れていなかった」。

自宅へ戻った後も夜は不安感にさいなまれ、明るくなった朝方にしか寝付けない。勤務先は地震で閉鎖され、家にいることが多くなった。長時間は立っていられないようになり、耳鼻咽喉科の医師からは「自律神経が乱れている」と診断された

東日本大震災でも多くの被災者が地震酔いを経験したとの調査結果があり、今回も多数の人が苦しんでいるとみられる。

避難所などでは室内に座ったままの人も多い。熊本大病院耳鼻咽喉科・頭頸部(けいぶ)外科の三輪徹医師は「屋外で体を動かし、視覚と体の感覚を一致させていけば症状の軽減につながる」としている

=2016/05/08付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞2016.05.08

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