原油急落から1年→過剰続く

原油価格が大幅下落を始めて1年がたつが、原油の供給過剰という構図に変化は見られない。供給が増加を続けそうな一方、最大のエネルギー消費国である中国の需要見通しに陰りが出ているためだ

北海ブレント原油の価格は1年前の1バレル=116ドルから、ことし1月には45ドルまで下げ、最近はやや持ち直している。

しかし石油輸出国機構(OPEC)は生産高を過去最高に近い水準に保ち、盟主のサウジアラビアは一段の増産さえ示唆している

米エネルギー情報局(EIA)が今月公表したデータによると、世界の原油の供給過剰、すなわち消費量と生産量の差は、昨年第2・四半期末から倍以上に増えて日量260万バレルに達している

マッコーリーの石油・ガス戦略グローバルヘッド、ビカス・ドウィベディ氏は「需給バランスに関する限り、問題は解消していない。ある意味で全体状況はさらに悪化しているようだ」と話した。

供給はさらに増える可能性がある

イランと主要各国は核協議で月内合意を目指しており、合意すれば石油輸出の制裁は解除される可能性がある同国の原油輸出は2011年には日量300万バレルだったが、現在は100万バレル未満に抑えられている

イランの石油輸出が年内に解禁されれば、第4・四半期に例年見られる原油在庫の季節的な取り崩しが妨げられ、市場の不均衡是正も進まなくなる、とトレーダーは指摘する

<中国の需要に陰り>

中国は新車販売の急増や戦略的石油備蓄の拡大を背景に、石油輸入がこの半年間、過去最高に近い水準が続いている

一部のアナリストによると、中国は成長減速に伴い石油需要にも鈍化の兆しが見られる

HSBCのアジア経済調査共同ヘッド、フレデリック・ニューマン氏は「年内に中国の成長が回復することを当てにしてはならない。政府は成長促進に努力してきたが、今のところ効果が出ておらず、この結果エネルギー需要も抑制される可能性がある」と語る。

中国の石油輸入は5月に前年同月比10%超減少し、2013年11月以来で最大の減少率となった

価格に敏感な米シェールオイル生産業者などは、原油安のあおりで生産を減らすと予想されていた。確かに油井の掘削は抑制され、生産を停止した油井もあるが、既に掘削済みの油井が稼働し始めたり、生産者が生き残りをかけてコスト削減を進めた結果生産高は高水準を保っている

EIAは少なくとも2017年まで供給過剰が続くと予想している。他の関係者の間では、世界のエネルギー消費における石油のシェアが縮小しているため、供給過剰状態は恒久化するとの見方もある

参考 ロイター 2015.06.17

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