南シナ海に焦る→中国

海洋安全保障が伊勢志摩サミットの焦点の一つとなる中、中国が南シナ海問題での劣勢の巻き返しに躍起だ。ベテラン女性報道官が米誌に米国の介入を非難する論考を発表したが、識者らが批判し物議を醸している。オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が近く判断する、中国による南シナ海の領有権主張の正当性についても、中国に不利な結果が予想され、中国は焦りを募らせているとみられる

流暢(りゅうちょう)な英語で中国の主張を発信し「マダム・プロパガンダ」の異名ももつ、全国人民代表大会(全人代)外事委員会主任、傅瑩(ふえい)氏は、米誌ナショナル・インタレスト(5月9日、電子版)に、中国南海研究院院長の呉士存博士と、「南シナ海~この局面にどう至ったか」を発表した。

論考は、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は、2009年までは良好な関係を維持していたと主張。09年に発足した米オバマ政権が「アジア回帰」政策を掲げ「南シナ海で中国と摩擦を起こし始めた」と米国の介入を非難した。その上で、「主権を守り文民と防衛の必要に応えるため」、スプラトリー(中国名・南沙)諸島の実効支配地で13年、埋め立てを始めたと自己正当化した

だが、英国王立国際問題研究所準会員で南シナ海問題に詳しいビル・ハイトン氏は、16日付の同誌で「魅力がなくけんか腰~中国政府が偽造する南シナ海広報キャンペーン」と題した論考を発表中国の米国に対する責任転嫁を批判した

ハイトン氏は論考で、「アジア回帰」は傅氏の主張する09年ではなく、11年秋から打ち出され、ワシントンではオバマ政権以前から、東南アジア諸国が南シナ海での中国の主張に懸念を深めている事態を問題視していたと指摘した。その他にも、傅氏自身が07年から南シナ海問題で強硬姿勢をとっていた証拠などをあげて論破。09年は、マレーシアとベトナムの問い合わせに応え、南シナ海ほぼ全域で管轄権を主張する根拠の「九段線」の入った地図を中国が国際社会に初公表した年だとした

ハイトン氏は、傅氏の論文は「パロディー」で、「中国を帝国主義による背信の被害者に見せようとしている」と指摘した

一方、ラオスで開催中のASEAN国防相会議は25日航行の自由を保障する重要性などを強調する共同宣言を採択した

産経新聞2016.05.26

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