南シナ海で連携確認→ベトナム・ラオス

安倍晋三首相は28日、主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)の拡大会合に招いたアジア・アフリカの首脳と個別に会談したベトナムのグエン・スアン・フック首相との会談では、防衛分野の協力と交流を強化することで合意するとともに、中国が大規模な埋め立てを進める南シナ海問題で緊密に連携していくことを確認ラオスのトンルン首相とも南シナ海問題で意見を交わした。ラオスは今年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国。日本は両国との関係を強化し、9月のASEAN関連首脳会議も念頭に中国をけん制していく構えだ

首相官邸で行われたフック氏との会談では、ベトナムの海上での法執行能力を強化するため、日本が巡視船10隻(新造船2隻と中古船8隻)の供与に向けた調査に取り組むことやベトナム・ホーチミン市の鉄道インフラ整備に約900億円の円借款を供与することを決めた安倍首相は「南シナ海で進む大規模埋め立てや拠点構築を含む現状変更の試みを懸念する」とフック氏に伝えた

これに先立って名古屋市内でトンルン氏と会談した安倍首相は「日本とラオスの関係を飛躍的に発展させたい」と述べ、ASEAN関連首脳会議の際に公式訪問する考えを示した。南シナ海情勢については、中国の行動に対する深刻な懸念を伝え、関連会議で取りまとめる議長声明に盛り込むことを求めたとみられる

フック、トンルン両氏は4月に首相に就任したばかりで、今回のサミット拡大会合への招待で中国よりも先に日本への訪問が実現したサミットの首脳宣言でも南シナ海、東シナ海の問題に対するG7の「懸念」が盛り込まれており、日本は、南シナ海問題を抱えるASEAN関連首脳会議でも強いメッセージを出すことを目指している。議長国ラオスや中国と領有権問題を抱えるベトナムとの協力が不可欠と判断した

フック氏とは首相主催夕食会を、トンルン氏とはワーキングランチを設けるなど招待国の中で厚遇ぶりが目立った「ASEAN諸国にとっても、サミットでは欧米の首脳と意見交換する貴重な場になる」(外務省幹部)ため、サミット議長国となった機会を活用した外交攻勢を展開した

また、南シナ海と同様にシーレーン(海上交通路)として重要なインド洋に位置するスリランカのシリセナ大統領との会談では、巡視艇2隻の供与を表明したほか、送電線整備など約380億円の円借款供与を決定海洋安全保障分野での協力を強化する方針で一致した。バングラデシュのハシナ首相との会談でも総額1735億円の円借款供与を表明した

政府は「質の高いインフラ投資」を全世界で推進するため、今後5年間で約2000億ドル(約22兆円)の資金供給を表明しており、開発面でも中国に対抗していく構えだ

安倍首相はアフリカ連合(AU)議長国であるチャドのデビ大統領、パプアニューギニアのオニール首相とも会談し、サミット関連の外交日程を終えた。【小田中大】

毎日新聞2016.05.28

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