南アで最古ヒト属新種発見

南アフリカのヨハネスブルク郊外にある洞窟でヒト(ホモ)属の新種の化石15体分を発見したと、南アのウィットウォーターズランド大学などの研究者グループが10日発表した。「ホモ・ナレディ」と名付けられた新種は、脳の大きさなどからヒト属としては最古のものとみられるが、発見状況から死者を埋葬する習慣があったと推測している現生人類のホモ・サピエンスだけにしかみられないと考えられていた埋葬の習慣を持つヒト属の存在は、人類の起源や進化の過程を解明する歴史的な発見として大きな注目を集めている

■生存年代は不明

「今日、われわれは人類の過去を掘り起こした。われわれは例外ではなかった。死者を埋葬できるのは、われわれだけではなかったのだ

南アのシリル・ラマフォサ副大統領(62)は10日、発見場所近くで開いた記者会見でこう驚嘆した。

新種発見の研究論文は、英科学誌「イー・ライフ」と米ネイチャー誌「ナショナル・ジオグラフィック」に掲載された。

ロイター通信など海外メディアの報道によると、骨の化石が発見されたのは、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産に登録されている「人類のゆりかご」として知られる人類化石遺跡群。研究グループは2013年秋に、アマチュア研究家からの情報に基づき、地下約30メートルにある「ライジングスター洞窟」の発掘調査を実施。入り口から約90メートルの地点で骨や歯の化石など計1550個を採取し研究を続けてきた

生存年代は現時点では不明推定身長は約150センチ、体重は約45キロと小柄で、手足の骨格は人類に似ており、道具を使えたとみられる。脳の大きさはオレンジの実ぐらいで、チンパンジーよりもやや大きく、原始的な猿人であるアウストラロピテクスとほぼ同じだった

研究グループは、最古の年代に生存していたヒト属の新種と断定。洞窟名にちなみ、現地語で「星」を意味する「ナレディ」を名前に付けた。

■火も使用か

研究者らを最も驚かせたのは、洞窟の奥深くの同じ場所で乳幼児から子供、成人、老人の骨が大量に見つかったこと。自ら洞窟に迷い込んだとは考えにくく、他の動物が獲物として運んだり、洞窟内で落盤が起きたりしたような形跡もなかった。

このため、研究グループは死者を埋葬したものと推測。リーダーを務めたウィットウォーターズランド大のリー・バーガー教授はロイター通信に「あらゆる可能性を排除した結果、ホモ・ナレディは死者を、この場所に繰り返し置いていた」と指摘。「それは、彼らが自らを他の動物や自然界と異なる存在として認識していたことを示している」とし死者埋葬の習慣があったと明言した

埋葬場所までの真っ暗な通路を照らすため火を使っていた可能性もあるとみている

 死者を埋葬する習慣は現生人類固有のものというのが通説。バーガー教授は「人類を人類たらしてめているものが何なのか分からなくなった」との表現で人類の起源や進化の過程に関するこれまでの研究を覆す可能性に言及。「発見の真の意味を解明するには、まだ多くの時間が必要である」と語り、さらなる調査・研究に意欲を示した。

参考 産経新聞 2015.09.21

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