北朝鮮の終わりは近い

韓国が非武装地域で拡声器による政治宣伝放送を行ったことで北朝鮮との戦闘開始が懸念された8月の危機は、両国の高官協議により解決に至ったもようだ。これは世界全体にとっても喜ぶべきニュースだが、金正恩率いる北朝鮮の将来に関する不安感はいまだに残っている

今回の事件は、指導者としての彼を評価するうえで重要な機会となった。金正恩の振る舞いは、彼の父・金正日と祖父・金日成の行動を踏襲するものだった。すなわち、明確な理由なしに危機を作り出しそれを終わらせるための見返りを期待するというものだ

しかし、今回の危機で金正恩が得たものはわずかだった北朝鮮は、新たな食糧支援や経済・財政面の支援を得ることや、エネルギーや農業の援助を受けることもなければ、中国から温かい言葉をかけてもらうこともなかった実際のところ、そもそも金正恩がなぜこの危機を引き起こしたのかということ自体、理解するのが難しい

■ 恐怖政治と孤立無援

今回、金正恩が得たと思われるものは、彼個人に対する効果的な非難が含まれていた政治宣伝放送の中止に韓国側が同意したことだが、それで十分だったのかもしれない。

あらゆる情報が伝えているのは、北朝鮮で自身が引き継いだものを金正恩が享受しているということだ朝鮮半島の伝統では、一家の財産を3代目の末子に委ねるのは、冒険的な考えともいえる。彼の父・金正日は、金日成の跡を引き継ぐために奮闘していた。金正恩は一家の事業を管理するうえでさらに大きな困難を抱えていると思われる

確かに、彼は多くの人が恐怖政治と呼ぶようなものを始めた高官たちを突然、情け容赦なく排除し、ほかの政府関係者は恐怖で委縮することとなった

 同国の経済は混乱を極め、農業の基盤に現代の工学やテクノロジーがまったく取り入れられていないことからより気候変動の影響を受けやすくなっている市場経済を容認する当局の決断は、必要性に迫られて下されたものだあらゆる国々で退廃していった共産主義体制と同様、北朝鮮政府は集団農場の収穫物の対価を支払う体制を構築できていない

中国は実質上、この小さな隣国と手を切っているロシアは新しい同盟国を得る機会をうかがいながらも、弱体化している自国経済の管理に必死でありタダで何かを得ようとする国との友好関係の修復には、興味を示していない

金正恩の指導者としての特徴の一つは北朝鮮における核兵器開発計画の中止を求める交渉に無関心だったことだ。実際、最近の中国がいわゆる六カ国協議を再開させようと必死になっていた一方で、北朝鮮は物静かに「結構です」と拒否していた

 金正恩指導下の北朝鮮は核兵器を搭載できる弾道ミサイルの開発に注力し、多額のカネを投じてきた。以前のパートナー――実際のところ全世界がそうであった――は、制裁を厳しくして警戒を強めるしかなくなり、米国とその同盟国は、北朝鮮の攻撃システムの正体が明らかになる前にそれを無力化できる可能性のあるハイテク防衛システムを開発している

■ いずれは韓国が吸収

4年間にわたり行われた六カ国協議の間、北朝鮮の交渉相手である米国、韓国、中国、ロシア、日本は大盤振る舞いともいえる取引を提案した核開発計画の中止と引き換えに、広範囲の支援や保証をもたらすものだった良好な状態で国際社会の一員として認められる利益に背を向けてしまった金正恩は、明らかに自国をさらなる荒野へと導こうとしている

このようなことからも、専門家の多くが北朝鮮消滅後の政治体制に意識を向け始めた理由は容易に理解できる。どのような成り行きでそうなるかは定かではないが、いずれ北朝鮮は機能できなくなり、韓国が引き継ぐことになる

韓国国民の多くは、北朝鮮の人口を吸収する責任を負う準備が出来ているのか自信を持てないでいるこのような歴史的難題に直面した朝鮮半島の人々は、子孫たちへの期待と先祖たちの願いを胸に秘めつつ、再統合を認め、最終的には喜んで受け入れることになるだろう

この任務は歴史的に意義が大きいものである。比較的最近の事例となるドイツの再統合は、いくらか手本にはなるが、朝鮮半島は独自の道を切り開かなければならない。その過程では、堅実な計画だけでなく、友好関係や同盟国、パートナーも必要となろう

参考 東洋経済オンライン 2015.09.13

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