北、露重油を密輸→中国業を介し

北朝鮮が、ロシア産重油を中国企業を介して経済特区の港に運び、積み荷を放棄させる手続きで密輸していたことが15日、中朝関係者らへの取材で分かった代金は中国企業を装って中国国内で決済この重油からは、国連安全保障理事会の対北制裁で禁輸となった航空燃料も精製できるという。軍事転用可能な物資の北朝鮮への流出が懸念される中、制裁を骨抜きにするルートの存在が新たに浮き彫りになった

中国税関総署によると、北朝鮮への原油輸出は、統計上2014、15年連続でゼロを記録した。にもかかわらず、北朝鮮国内でガソリンなどの価格が高騰せず、平壌市内を多くのタクシーが平然と走るという奇妙な現象が起きていた。

この謎を解く鍵の一つがロシア産重油マズートM100だ。原油の約3分の1という安値で手に入り、中国の中小企業がこの重油からガソリンなどを再精製し、転売してきた

北朝鮮はこれに着目。中朝貿易関係者によると、書類上、ロシア企業からシンガポールなど東南アジアの企業を経て中国企業が購入したM100を、ロシア極東のウラジオストク港から北朝鮮北東部の経済特区羅先(ラソン)の羅津(ラジン)港に船で運び出す

M100についてはあらかじめ、積み荷の所有権を放棄する「サレンダー」と呼ばれる手続きが取られ、荷揚げ後は北朝鮮側が自由に持ち出せる

中国企業にとって表面上ただで手放すことになるが、別の中国企業を装った北朝鮮のダミー会社から中国内の取引として裏で代金が支払われるという。

中国漁船が北朝鮮領海での漁業権と引き換えに朝鮮人民軍に石油を譲り渡したり、北朝鮮に進出した中国企業用と称して運び出したりする手法もあるとされるこうして統計上ゼロのまま、北朝鮮に石油が供給され続けることになる

日本や中国の専門家によると、M100からは装置さえあれば、ガソリン以外にも、軍事転用の恐れがあるとして安保理の制裁対象となった航空燃料も精製できるという。

北朝鮮の核実験などを受け、中国は主要銀行による対北取引を原則停止する厳しい措置に出た。しかし、中朝関係者によると、北朝鮮傘下の企業の多くは、中国籍を持つ関係者名義で登記し、中国国内で商取引の大半を完結。本国へ送金する必要はなく、打撃は少ないとみられている

国連安保理の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは、北朝鮮が日本製レーダーや米国製衛星利用測位システム(GPS)機器を軍事転用していた実態を報告している。こうした物資も中国内の取引を装い、「民生品」に紛れ込ませて密輸していた可能性が高い

産経新聞  2016.03.16
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