出光→昭和セェル買収へ

石油元売り国内2位の出光興産が、同5位の昭和シェル石油を買収する方向で検討していることが20日分かった。来年2月にも基本合意したうえで、TOB(株式公開買い付け)を実施し、子会社化を目指す

買収総額は数千億円とみられる。国内で石油需要が減少するなか、統合により生産体制の効率化や原油調達力の強化を図る

石油元売り大手の再編は、2010年に新日本石油と新日鉱ホールディングス(HD)の経営統合で、JXホールディングスが発足して以来。出光と昭和シェルの売上高の合計は約8兆円となり、首位のJXHDの約12兆円に迫る。

出光はTOBで、昭和シェルの筆頭株主で株式の約35%を保有する英・オランダ系石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルの株式も買い付ける。

出光の製油所は北海道、千葉県、愛知県、昭和シェルは神奈川県、三重県、山口県にあり、地域的に重複しない。拠点ごとに最適な製品を生産して効率を高めるが、将来は統廃合も課題になる可能性がある。系列ガソリンスタンドの統廃合も進め、流通の収益力強化を目指す。規模拡大により、産油国との価格交渉力を高める効果も期待できる

石油元売りの再編を巡っては、業界3位のコスモ石油と、同4位の東燃ゼネラル石油が来年1月、千葉県にある両社の主力製油所を一体運営する合弁会社を設立する。出光の昭和シェル買収交渉により、業界再編が加速しそうだ。

国内では、自動車市場の伸び悩みやエコカーの普及などで石油需要が減少している。経済産業省は、過剰な製油能力を解消するため、国内にある全23製油所の再編統合を推進。今年7月には、日量395万バレルの生産能力を16年度末までに1割削減するよう求めていた

出光、昭和シェルの再編も後押しする見通しで、両社が産業競争力強化法に基づく事業再編計画の認定を申請すれば、税制優遇措置などの支援を行う方向だ。

◇解説 需要減、生き残り模索

出光興産が昭和シェル石油の買収交渉に乗り出す背景には、国内の石油製品需要の減少という構造的な問題がある。石油元売り大手の売り上げの大半を占めるガソリンや軽油などの石油製品部門は、少子化や低燃費車の普及などで、今後も縮小を続ける見通し。生き残りのための業界再編が加速する可能性がある

国内では、石油元売りの主な収益源であるガソリン販売が過去10年で2割減った。元売り各社はその間、製油能力を1割足らずしか削減しておらず、需給がだぶつく要因になっている

出光興産の売上高の大半はガソリンや軽油などの石油製品部門だが、同部門の2014年3月期の営業損益は実質的に221億円の赤字となり、立て直しが急務だった。

出光興産と昭和シェル石油は統合で製油所の余剰設備を廃棄するなどし、経営効率を高める方針だ。さらに、製油所閉鎖などの抜本対策に乗り出せば、投資余力が生じ、成長戦略に振り向けることが可能になる。

出光興産はベトナムの製油所建設など海外事業にも注力する方針で、合併が競争力強化につながると判断した模様だ

JXホールディングス、コスモ石油、東燃ゼネラル石油もコスト削減を迫られており、さらなる業界再編が起こる可能性がある

参考 毎日新聞 2014.12.20

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