入れ歯刻印で不明遺体の身元初特定

東京都内で10月、身元不明の女性遺体が見つかり、女性の入れ歯に「日大」の文字をかたどったプレートが埋め込まれていたため日本大付属病院で治療歴があったことが判明し、身元の特定につながっていたことが29日、捜査関係者への取材で分かった

警視庁捜査1課は、身元特定に役立てようと、約10年前に日大歯学部の小室歳信(としのぶ)教授にこうした“刻印”を入れ歯に施すように要請しており、今回が初めての成功事例とみられる

捜査関係者によると、女性は10月下旬、都内の川で浮いた状態で見つかり、その場で死亡が確認された。目立った外傷などはなく、自殺とみられる。

免許証など身元が分かるものは持っていなかったが、警視庁葛西署が検視をしたところ、右の上あごにあった入れ歯の歯茎部分に「日大」の文字をかたどった樹脂製のプレートが埋め込まれているのを発見。同署が江戸川区歯科医師会を通じて日大歯学部に照会を依頼し、カルテなどを調べた結果、女性が約5年前に日大歯学部付属歯科病院で治療を受けていたことが分かったという

関係者によると、入れ歯の歯茎部分に樹脂プレートを入れる手法は「義歯刻印法」と呼ばれ、入れ歯の形状によって、歯の部分を直接削って色素を塗り込むこともある。約80年前に欧州で提唱され、日本の歯科医でも20年ほど前から実施され始めたという。

捜査1課は身元特定に役立つ可能性が高いとして、平成15年ごろに日大歯学部に協力を要請。16年から開始され、これまでに1万人超の患者が同様の入れ歯を使っているとみられる。

女性の遺体は今年12月中旬、火葬の前に親族に引き渡されており、警視庁葛西署の前田茂則副署長は「プレートを発見しなければ、身元が分からないまま、保管期間を過ぎてしまった可能性もある。遺骨になる前に家族の元にかえせて本当によかった」と話した。

参考 産経新聞 2014.12.30

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