児童ポルノ「単純所持」→7/15~罰則

改正児童ポルノ禁止法に基づいて、児童ポルノの「単純所持」が7月15日から摘発対象になる。それに合わせ、全国の警察は6月15日から7月14日まで、一斉にサイバーパトロールをして、インターネット上で児童ポルノを共有している愛好家を捜す。

児童ポルノの単純所持については、法改正で「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」の罰則が設けられ、昨年7月15日に施行された。ただ、罰則適用までに1年間の猶予期間がおかれていたため、今年の7月15日からいよいよ罰則の適用が始まることになる。

報道によると、警察庁は迷惑メールで児童ポルノを送りつけられても摘発されないが、パソコンに保存し直したら「所持」として摘発される可能性があることを説明し、早急な削除を呼び掛けている

もし児童ポルノのデータを保管していたり、DVDなどを所持したりしている場合、どう対処したらいいのだろうか。また、児童ポルノかどうか自分で判断できないグレーゾーンのものを所持している場合は、どう対処したらいいのだろうか。奥村徹弁護士に聞いた。

物理的に破壊して、その場面を撮影しておくと安心

「弁護士でも混乱している人がいますので、まず、『所持』と『保管』の概念の違いから説明します。

児童ポルノの『所持』とは、有体物(写真、DVD・ハードディスク(記録媒体)など)である児童ポルノを、自己の事実上の支配下に置くことをいいます

一方、電磁的記録(データ)の『保管』とは、電磁的記録を自己の実力支配内に置くことです。具体的には、児童ポルノの電磁的記録をコンビュータのレンタル・サーバに保存したり、自由にダウンロードすることができるリモートストレージの記録媒体に保存したりする行為です。

所持と保管の行為は、2014年7月15日に施行された法律ですでに禁止されていますが、2015年の7月15日から『1年以下の懲役または100万円以下の罰金』という罰則が適用されます」

もし今、児童ポルノのDVDやデータを持っている場合、どうすればいいのだろうか。

「手元にある児童ポルノに該当するDVD等の媒体は、現時点で破棄せざるを得ないでしょう。処分方法としては、物理的破壊がベストです。捜査を受ける場合に備えて、破壊する場面を写メなどで保存しておくと安心です。

ハードディスクなど、読み書きできる媒体では、削除してもデータを復元されて所持を疑われるおそれがありますので注意してください」

では、ブラウザのキャッシュや、パソコンの「ゴミ箱」に入れた状態、媒体を初期化した状態でも、児童ポルノを所持していることになるのだろうか。

よくある相談ですが、画像として再生可能である限りは『児童ポルノ』に該当しますから、それを自己の事実上の支配下に置いておくと、客観的には『所持』している状態になります

その場合は、『児童ポルノサイトを閲覧しただけで、キャッシュとして画像が保存されるのは知らなかった。自己の意思に基づいて所持したものではない』『削除した・初期化したので再生可能なデータとして残っているとは思わなかった』『削除した・初期化した・キャッシュとして保存されただけなので、自己の性的好奇心を満たす目的がなかった』などと弁解すれば、所持罪に問われることはないと思われます」

「破棄」しても購入リストをもとに捜索を受ける可能性

「相談事例としてやっかいなのは、破棄したとしても、提供事件で押収された過去の購入者リストに基づいて、購入者に対する捜索・押収を受ける危険性があることです。『提供者』を被疑者とする令状による、『購入者』の自宅・職場への捜索・押収は以前から行われていましたが、今後は『購入者』自身の単純所持罪容疑での捜索・差押が行われることになります。

たとえば、児童ポルノの単純所持に独自の刑事罰規制を導入している奈良県の『子どもを犯罪の被害から守る条例』を例に考えてみましょう。検挙事例では、条例が施行される前に『提供犯』から押収されたリストに基づいて、条例施行の1ヵ月後に『購入者』宅を捜索して、現行犯で検挙しています

適切に破棄していれば、単純所持罪になることはありませんが、過去に児童ポルノを購入したことが家族や職場にバレて恥ずかしい思いをする危険があります」

対策として、どんなことが考えられるのだろうか。

「万全の対応策としては、最寄りの警察に児童ポルノを持参して任意提出し、購入経路を説明して、提供罪の捜査の端緒を与えることで、自分に対する捜索・差押や単純所持罪での摘発を逃れたというケースもあります。ただし、ダウンロード販売や通信販売などで購入した場合は、取引が記録されていますので、注意してください」

では、いま持っているデータやDVDが、児童ポルノかどうかわからない場合は、どうすればいいのだろう。

「所持が禁止されるのは、改正児童ポルノ禁止法2条3項が規定する児童ポルノ(衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの)だけです。それ以外の画像は、わいせつ図画であっても及びません。

もっとも、法律の定義はややこしく、素人判断で『児童ポルノではない』と思っていても、『児童ポルノだ』という捜査機関の判断で、捜査を受けるおそれがあります。児童ポルノかどうかの判断がつかない場合は、警察の生活安全課や児童ポルノに詳しい弁護士に現物を見せて、相談したほうがいいと思います」

奥村弁護士はこのように話していた。

参考 弁護士ドットコム 2015.06.20

 

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