健康被害→相談相次ぐ

発疹は好転反応なので我慢してください。乗り越えればよくなります」「それは毒素が出ている証拠です」-。化粧品、健康食品、エステなど美容・健康に関する機能をうたった商品やサービスで、湿疹や下痢、頭痛など健康被害を訴える消費者に対し、「好転反応」という言葉を使うなどして改善の兆しのように錯覚させ、継続利用を勧めるセールストークには注意が必要だ。消費者庁には、業者の説明を信じて使い続けていたら症状が悪化したという相談が5年間で計100件寄せられており、同庁は「健康被害が生じた際には商品の利用をいったん中止し、医師に相談してほしい」と呼び掛けている。

■業者の説明とは全く違う医師の診断

消費者庁に寄せられた事例を見ると、業者の説明とは全く違う医師の診断結果が出ているケースが目立った

昨年4月CMでアトピーにも使用できるとうたっていた化粧品を使った50代女性が、肌がボロボロと剥がれてきたため、業者に相談した業者からは「それは好転反応です」と言われ、そのまま使用を継続した。しかし、何カ月たっても症状が治まらず、皮膚科を受診したところ、かぶれによる発疹といわれたという

新しく購入した化粧品を使用していた20代女性は平成25年11月、ニキビが出たり、かゆみや痛みを感じたため、販売員に症状を訴えた。「大丈夫、良い化粧品だからニキビが出る。今はデトックス効果で悪いものが出ている」などといわれ、信用して使い続けたが、医師の診察を受けたところ、化粧品負けが原因といわれ、薬を処方されたという

知人に勧められた健康食品を飲んでいた50代女性は昨年7月、体に湿疹ができたため、知人に症状を訴えた。しかし、「体から悪いものが出ているので、そのまま飲み続けるように」と言われたという。その後、湿疹は顔にまで広がり、病院で診察を受けたところ、医師から「健康食品によるアレルギー」と言われたいう

また、耳鳴りが治るのではとの思いから、電位治療器の無料体験に通い、同治療器を購入したという70代男性は24年4月、治療器を使用したところ指先にかゆみを感じた。担当者に症状を伝えると、「好転反応だから使用し続けて」と言われ、その後1週間使用し続けたところ、症状が指先から体中に広がり、体調不良に悩まされるようになったという

■医学用語辞典に「好転反応」の記載なし

好転反応とは、治療の過程で一時的に症状が悪化する現象のことで、回復の前兆とされる。だが実際には、体質に合わなかったり、副作用で健康被害が生じていることも多く、継続利用すれば症状が大幅に悪化する恐れもある

また、消費者庁が専門医に確認したところ、化粧品や健康食品で症状が出た後、利用を続けて症状が改善するなどの好転反応が起こるのはまれという。日本医学会が監修している医学用語辞典に「好転反応」という用語の記載はなく、業者の“セールストーク”に安易に従うのは危険と警鐘を鳴らす

消費者庁と国民生活センターが連携し、事故防止に役立てるデータ収集・提供システム「事故情報データバンク」には21年4月から26年10月末までに、健康被害とその対処に対する相談が339件寄せられており、そのうち利用を継続して健康被害が発生、症状が持続・悪化したという情報が100件に及んでいる。

この100件を商品・サービス別にみると、化粧品が33件、健康食品が32件、健康器具が23件、エステでは8件、整体やカイロプラクティック、アロマオイルなどのサービスでも4件あった

■商品に関係ない人や医師に相談して

また、過去5年間の相談件数と、継続利用して悪化した事例数をみると、21年は相談件数が63件(悪化した例が18件)▽22年は52件(12件)▽23年は61件(23件)▽24年は57件(20件)▽25年は62件(17件)▽26年は10月末時点で44件(10件)。急激な増減は見られないものの、毎年、一定の割合で被害が出ていることが分かった

購入経路は、知人らからの購入のほか、無料体験会後や、美容エステサービスを受けた際の購入などが多かった。

消費者庁は、新しく美容・健康商品などを利用する際は体調変化に注意し、健康被害が発生した場合は、商品による健康被害を疑って、いったん利用を中止してほしいと訴えている。また、「好転反応」「毒素が出ている」などの説明はセールストークの可能性もあるので、うのみにはせず、商品と関係ない身近な人や、消費者センター、医師らに相談してほしいと呼び掛けている

参考 産経新聞 2015.01.23

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