健康に見える子どもにも潜む→生活習慣病

■肥満傾向の子どもは減っているが…。
子どもの生活習慣病リスクといえば、やはり肥満が問題肥満から糖尿病となってしまう子どももいます。その要因は運動不足や、塾通いの夜型生活、また食生活などが指摘されています

実際にこうした問題に関連して、平成17年の「国民健康・栄養調査」において、「肥満」「太りぎみ」の子どもが男女ともに約2~3割いることが報告されました

ただその後の、現状の結果を示す平成27年度「学校保健統計調査」を見てみると、肥満児については平成18年以降は概ね減少傾向がみられ、平成23年度以降は横ばいに推移しています

8歳男子6.70%・女子6.31%、14歳男子7.94%・女子7.14%、17歳男子10.22%・女子7.75%で肥満児は1割もいない状態です

■一見健康そうな体型でも血糖値が高い中高生
では、こうした肥満の減少を受けて、子どもたちは健康になったと言えるのでしょうか。

実は、一見健康そうな子どもでも血糖値が高いというケースがありました。2016年2月28日に行われた日本小児科学学会倫理委員会 公開フォーラム「子供の人権はどのように守るべきか」において、「子供たちの栄養を考える」(武庫川女子大学 国際健康開発研究所/森 真里氏)の基調講演の内容をご紹介しましょう。

子どもの生活習慣病リスクの問題を把握するうえで、西宮市内の中高一貫に協力をあおぎ、男子240名、女子550名の食生活と健康状態を調査しています。

特に女子では見た目は健康で、肥満より痩せが多い傾向でしたが、血圧・中性脂肪、血糖値が高めでした。また男子はスポーツに熱心な学校で運動部所属にかかわらず、血糖値が高めの学生が多かったことが報告されました

中性脂肪が高い、インスリン分泌も高い女子中高生の食事の内容は朝はパンとコーヒーなどの飲み物、昼はおにぎりと具なし麺、間食に小麦粉や砂糖を使ったスイーツ、夜にはご飯に中華丼、魚、お味噌汁野菜のおひたしなどが報告されていました。もちろんこのような学生ばかりではないのですが、全体としてやはり野菜や海藻、豆類、魚などが不足し、また間食が多い傾向がありました

また男子は食べ盛りなのでごはんや肉・卵などは食べていても、野菜が少ないこと、運動していることでスポーツドリンクの摂取が多い傾向も見られ、その影響があるのかもしれません

スイーツが食事代わりの女子大生
一人暮らしの女子大学生に食事調査をしたところ、例えば朝食例として、アイスクリーム、チョコレート、ヨーグルト、菓子パン、ドーナッツ、夕食にもわらび餅、菓子パン、アイスクリームなどが送られてきたそうです

朝食に菓子パン、ジュース、昼食に飴、チョコ、ジュース、夕食にもお菓子などの糖質が多く含まれている食べ物を時間を決めずに頻繁に食べていると、血糖値が上下する回数が多くなり、炎症反応につながって、常に血糖値が高めになりやすくなります

特に大学生の調査の場合は食事の画像を依頼したにもかかわらず、間食の画像を送ってくることに問題意識を持っていない、ことが問題だと指摘されていました

■極端なやせが未来の子どもの健康に影響するかも
食べ物が豊かで便利な現代は、お金さえあれば好きなときに好きなものが食べられます。何をどれだけ食べれば良いのか、また偏った食べ方をしているとどんなリスクがあるのかについて、家庭での食習慣を身につければ良いのですが、それもなかなか難しい時代になっているようです

また女子の場合体型では「やせ」の傾向も強く見られます極端に食べないような間違えたダイエットを長期間続けると、体調不良や骨粗しょう症などの障害が早期に現れたりすることもあります

また将来彼女たちが妊娠するときにも栄養不足の状態であると、子宮内低栄養の環境にあり、低出生体重児(出生体重が1000g~2500g)を産むリスクの一つになることが懸念されています低出生体重児として生まれた子どもは、将来の高血圧や2型糖尿病などの生活習慣病になる可能性が高いことが知られています

若い女子たちにも自分だけの体型や健康の問題ではなく、未来の子どもたちにも影響するということをしっかり認識して欲しいものです

■バランスよくゆっくり血糖値を上げる食べ方を
健康のためには多様のものをバランスよくほどほどに食べることが、当たり前ですが大切な食べ方です。特に肥満や血糖値などが気になる方は、カロリーの低いものばかりを食べたり、食べる量を厳しく制限したりする人もいます。しかし、極端に何かを食べない、あるいは「〇〇だけ食べる」ダイエットは、心身ともに無理があり続きにくいものです

脂質や糖質、たんぱく質はエネルギー源となるもので、肥満が気になる方は避けがちですが、健康のためにも必要な栄養素。バランスよくほどほどに食べることがポイントです

今注目される糖質も、全く食べないのではなく、血糖値が急激に上昇しないように、糖の吸収がゆっくりと上昇するような食べ方をすると良いでしょう。

例えばきのこ、海藻、きのこ、芋、野菜など、食物繊維が多く硬い食べ物をしっかり食べること。ご飯だけを食べるような「ばっかり食い」ではなく、ご飯とおかずの主菜や副菜と一緒に口にする「三角食べ」「口中調味」という食べ方をするだけでも、糖の吸収はゆっくりになりますまたよく噛むことは、食べ過ぎを防ぎ、脂肪燃焼の働きがあるのではないかと考えられています

問題のあった中高生も、データを示して食改善を行い2年目に測ると、血糖値、中性脂肪の値は改善されたそうです。検診データを示して食習慣の改善点などを一緒に探れば、納得して取り組めるので、子ども対象の検診もこれから必要性が高くなってくるのではないでしょうか。

少子化の時代にこれからの日本を担う子どもたちが健やかに成長をできる環境を作るためには、家庭と学校と連携するなど、社会全体で子どもを見守る機会を一層増やしていきたいものです

<参考>
・平成17年度「国民健康・栄養調査」概要
・平成27年度「学校保健統計調査」
・日本小児科内分泌学会
・家庭における食育の推進(内閣府)
その他
文・南 恵子(All About 食と健康)

All About 2016.03.26

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