低迷する中国経済の7つの課題

中国経済の低迷が注視されています中国人民銀行は10月24日に、追加利下げとともに、預金準備率引き下げを実施しました二つの金融緩和策を同時に行う異例の措置をとったわけで、これは中国経済が厳しい局面に立たされており、強力な経済政策を打ち出さざるを得ないということを示しています

問題は、これで解決するのか、ということですこうした金融措置をしても一向に景気は上向きません。それ以上に問題があるのです。7つの課題として整理してみましょう。

1.資本の流出

まずは、海外からの資本の流入が少なくなるとともに、逆に資本の流出があるということです中国経済のミラクル的成長を可能にしたのは外国資本の流入でした。13億とも14億とも言える巨大な労働市場と消費市場を持っている国です。多少の難があろうとも、金がダブついていた世界の金融界は中国に資金注入をしていきました。また国際企業の企業進出も盛んでした相当に不利な規制がかかっていても、「未来の市場」である中国への進出は、欧米や日本の企業や金融機関にとって魅力でした失敗も多かったのですが、それでも次々と新たな投資がやってきました今、その投資が鈍化していますむしろ海外の流出する資金も多くなっています。実態以上に成長した中国経済は、急速に減速しているのです

2.生産過剰

中国への過剰な投資は、過剰な生産能力を作り上げました消費が追いつかなければ、これはむしろマイナスになります。過ぎたるは及ばざるがごとし、というか、過ぎたるは及ばざるより悪い、のが資本主義なのです中国は社会主義の計画経済のはずでしたが、今の中国経済はデータの改ざんなどを除けば資本主義そのもの鉄鋼や石炭は明らかに生産過多であり、価格の暴落を呼び込み、企業は赤字に転落していますコンクリートやアルミニウムなども生産過多から赤字経営の企業が増えています。船舶は世界のトップに躍り出ましたが、最近は受注が減っています稼動しない工場も増えています。さらに、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの企業も期待されていましたが、世界的に増加率が落ちているなかで、生産能力を生かせない状況が続きます。結局、赤字に転落し、将来の見通しも明るくありません

3.将来に繋がらない公共投資

リーマンショック以降、中国は景気対策として巨額の公共投資を行いました。将来に繋がる公共投資と繋がらない公共投資があります。中国では、巨大なゴーストタウンを作る公共投資など、将来に繋がらないものも沢山出来ましたこれらはむしろごみになります無謀な計画で、税金を使うための公共投資といえるものも多かったのですその資金注入の時にはそれらもGDPを引き上げる効果はありましたが、こうしたものは結局はGDPを引き下げる効果を持ち始めます。今からその時期に入るのです

4.不動産バブルの崩壊

中国で中流以上の人たちが潤ったのは不動産の価値の高騰でした。北京や上海などの大都市にちょっとしたアパート、マンションを持っていれば、それだけでかなりの資産家になれましたそれを担保に金融機関はそれまでは考えられなかった資金を貸してくれます。かつての日本も経験した不動産バブルです。その資金が社会にまわり、経済をさらに活性化させました。しかし、その不動産バブルが弾ければ、急速に経済は落ち込みます。まだまだその序の口。一層のバブル崩壊が起きると、厳しい状況が訪れます

5.環境問題

環境の悪化は、企業コスト、社会コストを大きく上げていますこれまではあまり意識することなく、ひどい公害を出してきました。だから安いコストで競争力があったといえます。しかしさすがに最近の大気汚染や水汚染は無視できない状況です。相当なコストが必要になります。単なる規制強化だけでなく、浄化へのコストもかかります。過去のつけを支払わなければならなくなりました。

6.治安の悪化

景気の不安とともに治安の悪化も懸念されます。海外では報道されない暴動の件数は増加の一途と言われます景気の悪化と連動するだけに、負の連鎖に入ってしまう可能性があります民族独立運動もありますそれらと連携してくると、さらに経済が冷え込む可能性があります

7.軍事力の強化

あまり軍事力の強化と経済との関係は指摘されませんが、軍事力の強化は経済発展にはネガティブな要素です戦車やミサイルは武器輸出をしなければ、お金を生み出すものではありません。最近の中国の軍事費はうなぎのぼりですこれは経済にとっては、ハンディが増えているようなもの。もっと経済発展と結びつく公共投資に資金を注ぎ込むべきものを、軍事費に費やしています。ボディブローのように効いてきます

しかし、それでも中国の国内総生産(GDP)の7~9月期の前年比の成長率が6・9%と、7%を割ったものの高い数字となっているではないかという人もいます。しかしこの数字をどれだけ信じていいか。鉄道貨物輸送量や輸入額が最近はマイナスに転落しています。経済の実態は7%前後の経済成長ではなく、それよりもはるかに低い数字と考えられています。こうしたことも中国経済への不信と不安を増大させています。

私は日本が経験したようなかなり長期の経済低迷の時期がやってくると考えています暴動や内戦が起きる事態にならなければいいと思います。そうでなくても、しばらくの間は低迷するでしょう。その時こそ、どのような付き合い方をするかが、重要です。少子高齢化の国同士の安定した付き合いが可能になるかもしれません

7にあげた軍事費の増加をお互いにして、足を引っ張り合うことにならないようにしたいですね。

参考 児玉克哉 2015.10.24

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