他人に厳しく自分に甘い→舛添知事

高額な海外出張費に公用車での別荘通い、政治資金の「公私混同」疑惑-次々と新たな問題が浮上し、“火だるま”となった東京都の舛添要一知事「他人に厳しく、自分に甘い」「セコい、小さい」ほかの知事や首長経験者だけでなく、都知事選で舛添氏を後押しした自民党の幹部からも批判、苦言が相次ぐ。そうした中、20日の会見では「私は都民の信頼を失っている。厳しい専門家の目で調べてもらう方がいい」と今後の調査を弁護士らに一任することを表明。説明責任を放棄し、だんまりを決め込んだ。どうなってしまうのか

■知事仲間からは集中砲火

説明責任を全く果たしていない。政治資金を使ってせこくてずるいことを繰り返してきたのではないか」。神奈川県知事を務めた松沢成文参院議員は手厳しい。「多選の人が慢心して独善に陥ることはあるが、舛添氏はまだ1期目の途中なのに」とし「このまま説明できないなら潔く身を引くしかない」とした

鳥取県知事のほか、政治資金を所管する総務相を務めた慶応大の片山善博教授も「舛添氏の説明で納得できる部分が全くない。知事を続けるのは、観客のいない劇場で踊るようなものだ」と厳しく批判する。

■「自分に甘い」口火を切った下村元文科相

舛添氏は他人に厳しく自分に甘いところがあるのではないか。自分を厳しく律することが必要だ

舛添氏が定例会見で、政治資金収支報告書への私的な飲食費の計上を認め、謝罪した13日の夜。批判の口火を切ったのは、BS日テレの「深層NEWS」に出演した自民党の下村博文前文科相だ

下村氏は文科相だった昨年5月、新国立競技場の建設をめぐり、500億円の負担を舛添氏に求めた際、「税金を出すのは都民」「根拠がない」と“門前払い”にされた経験がある

舛添氏は当時、開閉式屋根などの一部工事が開会までに間に合わないことを強く批判。「誰の責任なのか。誰も責任をとらない体制は、大日本帝国陸軍と同じだ」と下村氏に強く辞任を求めるなど“口撃”を繰り返しており、冒頭の発言はこうした経緯を踏まえたとみられる

下村氏は13日の番組で「言い訳のようにしか聞こえない。会計処理を厳しくするなどけじめをつけるべきだ」「もっと真摯に受けとめてやっていただかないと、政治不信につながる」と立て続けに舛添氏に対する批判を展開。これを皮切りに、知事選で舛添氏を応援した政権与党からも苦言が相次ぐことになる

■「猛省せよ」「説明責任を果たすべきだ」自民党幹部も苦言

続いて舛添氏の政治姿勢に苦言を呈したのは、安倍晋三首相の側近として知られる萩生田光一官房副長官。15日に舛添氏がインターネットオークションで絵画を落札していたことをフジテレビの「新報道2001」が報じると、番組に出演していた萩生田氏は「ちょっと違和感を覚える。直ちに違法性があるということではないが、一体それを政治活動の何に使ったのか」と指摘。「きちんと説明責任を果たすべきだ。(舛添氏の13日の)記者会見を拝見したが、一都民として非常に分かりづらかった」と批判した。

自民党の谷垣禎一幹事長も17日の会見で、「猛省が必要だ。日本の首都のトップとしてそれなりの居住まいがなければならない」と強い表現で反省を促した

■「ちょっと待て。知事の外交なんてそんなに意味ない」

高額すぎる海外出張費や、公用車による湯河原通いの問題は、ほかの自治体の知事や首長経験者にも衝撃を与えた

旧知の仲である舛添氏からの要請に応じ、「政策的に一致している」と知事選を応援した神奈川県の黒岩祐治知事も、高額な海外出張費問題には、4月12日の記者会見で「東京とこんなに違うものかとがくぜんとした。桁が違う」と驚きを隠さなかった

黒岩知事は公用車での湯河原通いについても、5月9日の定例会見で、「都で決められたルールの中なので問題ないと思うが、それを都民の皆さんがどう受け止められるかは別の問題。距離や頻度は配慮が必要だと思う」と指摘している

また、前大阪市長で大阪府知事も務めた橋下徹弁護士は、一連の問題で度々ネット上などで発言。

自身のメールマガジンが抜粋掲載される4月25日のプレジデントオンラインでは、「舛添要一知事の外遊視察経費にはびっくりだ。VIPと会うためにスイートルームが必要だとかなんとか、ちょっと待て。知事の外交なんてそんなに意味ないよ」と指摘。「VIPに会うにしても、相手の庁舎や社屋を使わせてもらえばいい。もう面子(めんつ)だけ。飛行機のファーストクラスもいらんでしょ。ビジネスクラスで十分」と率直に語った

4月28日には自身のツイッターで、「舛添さん、早く有能な舛添さんに戻って!」と、激励ともとれる投稿をしたが、5月11日になると、「ここまで来たら思いっきり謝って、もう一度チャンスを下さいと都民にお願いするしかないね。都民に土下座する姿勢であればまだ許されるギリギリのところでは? そうでなければ辞職だね」と進退にまで踏み込んだ。

■元妻は「セコイ、小さい、悲しい」

舛添氏をよく知る人からも苦言が呈されている。元妻でもある自民党の片山さつき参院議員は11日、FNN(フジニュースネットワーク)の取材に「セコイ、小さい、悲しいですね。離婚して28年ですが、そのセコイな、細かいなっていうところは、全然変わってないなという感想は、持ちました。これはルール違反だし、公というものに対する意識が、全く欠けてるんじゃないですか。『公私混同』の極み」と話した

舛添氏は、公用車で神奈川県湯河原町の別荘へ行き来していた問題が発覚した際の4月28日の定例会見で、産経新聞の「湯河原に公用車で行くことについて、『やめた方がいいのでは』などの指摘を、都庁内や知人、友人らから受けたことがあるか」という質問に対し、「聞いたことありません」と言い切った。

助言をするような知人がいなかったのか、周りの声が届いていなかったのか-。今回、自民幹部からも相次いだ批判の声に舛添氏は17日、報道陣に対し、「真摯(しんし)に反省しなければならない。極めて重く厳しく受け止めて対応したい」と述べていたのだが…。舛添氏の“だんまり作戦”が今後、政界にどう受け止められるのか注目だ

産経新聞2016.05.24

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