中高年の重大病気のシグナル→間欠性跛行

歩行時に足腰に負担がかかると、しびれや痛みが生じ、休みながらでなければ歩き続けられない状態を「間欠性跛行」(かんけつせいはこう)といいます中高年に多く見られ、重大な病気のシグナルであることがあります

日本人に多い脊柱管狭窄症によるもの

間欠性跛行は「腰部脊柱管狭窄症」(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)の症状のひとつです。腰部脊柱管狭窄症は背骨の中にある脊柱管と呼ばれる部分が加齢の影響などで狭くなる病気です神経の通り道である脊柱管が狭くなると、中の神経が圧迫されて腰痛を引き起こします腰だけでなく下肢にもしびれが生じるのが特徴です

間欠性跛行がこの病気に由来する場合は、MRI検査を行うことで脊柱管の狭くなった箇所を確認することができます。治療は薬物療法や神経ブロック(麻酔薬を注射して痛みを取り除く治療)などの保存療法が中心で、約7割の患者は手術せずに改善を目指すことができます。神経の圧迫に加え、脊柱管周辺の血流障害も痛みやしびれの原因になります。そのため、血管を広げて血流を増やす薬剤を用いたり、運動療法によって血行をよくすることも有効です

手術が必要な場合、以前は「固定術」といって、背中を大きく切開し、金属製のネジで背骨を固定する手術が行われていましたが、現在では顕微鏡を使った顕微鏡下腰椎手術や、内視鏡を使った内視鏡下腰椎椎弓切除術など、大がかりな固定を行わない治療法も普及しています

閉塞性動脈硬化症によるもの

間欠性跛行が生じ、医療機関を受診することになった場合、多くの人はこれを足や腰の不調ととらえ、整形外科を受診します。原因が腰部脊柱管狭窄症である場合は、整形外科で発見される可能性は高いと言えます。また、直接生命に危険が及ぶ疾患ではないので大きな問題は生じないでしょう

注意したいのは、「閉塞性動脈硬化症」と呼ばれる、下肢の動脈が狭くなる病気が原因である場合です。これが見逃された場合は致死率が高くなる危険があります。閉塞性動脈硬化症は心筋梗塞や脳梗塞と同じく、動脈硬化によって引き起こされる血管性の病気です。同じように間欠性跛行が生じたとしても、腰部脊柱管狭窄症とは原因が異なります。閉塞性動脈硬化症の患者の脚は血流が滞るため冷たくなっています。足首と上腕の血圧の比を測るABI検査という動脈硬化の程度を調べる方法や、血液の流れを画像を通じて確認する血管造影CT検査によって、動脈の狭窄を調べることができます。

治療方法としては、血流を改善するための薬物療法や運動療法があります。症状が重く、保存療法で改善を期待できない場合は手術を選択します。手術にはバルーンやステント付きカテーテル(血管内に入れる医療用の管)を用いて血管を広げる方法、または、外科手術によって新たに血液の迂回路(バイパス)を作る方法があります

このように、間欠性跛行の原因となる疾患は整形外科、循環器内科という異なる分野にまたがっています。整形外科を受診した場合でも、担当の医師は閉塞性動脈硬化症の可能性についても十分に検討してくれるでしょう。しかし、患者の側においても、同じような間欠性跛行であっても、背骨が問題になるケースと、血管が問題になるケースがあることを知っておきましょう。腰部脊柱管狭窄症は高齢になれば多くの人が経験する疾患のため、「年だから仕方がない」で済ませてしまいがちです。万が一閉塞性動脈硬化症だった場合、発見が遅れないように注意が必要です

参考 Mocosuku編集部 2015.09.09

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