中韓露と競争→世界市場での原発技術

日本の原子力技術が国際的な舞台へ活躍の場を広げている。原発関連メーカーは海外勢ともタッグを組み、世界で電力の安全・安定供給を目指す。

フィンランドの首都ヘルシンキから北西に約250キロ。ボスニア湾沿岸のオルキルオト島は、原発2基が稼働し、出力160万キロワット級の大型炉を持つ3号機の建設が進む北欧の“原発銀座”だ

ここで2020年の運転開始を計画する4号機の受注に、日本勢3社が名乗りを上げた

東芝は東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)など4基の運転実績がある改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を提案した。福島第1原発事故を踏まえ、放射性物質の放出を抑制するフィルター付きベント(排出)設備などを備え、安全機能も強化した

フィンランドの既存原発はABWRと仕組みが似た沸騰水型軽水炉(BWR)のため、「運転員のノウハウも生かせる」(原子力海外技術部の野田哲也部長)という強みがある

これに対し日立製作所は米GEと共同開発した高経済性単純化沸騰水型炉(ESBWR)を提案した

ABWRをさらに高度化したESBWRは、原子炉の上部に冷却水を配置し、緊急時には重力で自然に落下し、炉内の水量を維持する電源喪失後に人が操作しなくても、72時間は自己冷却できる仕組みが特長だ

一方、日本唯一の加圧水型軽水炉(PWR)メーカー、三菱重工業は欧州市場向けに開発した世界最大級(170万キロワット級)の改良型加圧水型軽水炉(EU-APWR)を売り込むなど、各社とも最新技術を取り入れた原発で海外受注の拡大に懸命だ

国際エネルギー機関(IEA)はインドなど電力需要の高まる新興国を中心に世界の原発の発電容量が40年に、624ギガ(ギガは10億)ワットと、13年比で6割増えると予測する

世界的な原発の需要拡大を、商機と見込むのは日本だけではないロシアや中国、韓国も大統領や首相らがトップセールスに乗りだし、官民一体の売り込みを展開している

日本の原発輸出が活発化する状況について、日本原子力産業協会の服部拓也理事長は「福島事故の教訓を反映した安全性の高い原子力技術により、世界の原発の安全性が高まる」と期待を寄せている

ただ、国内では原発の長期停止が続く。大手重電メーカー幹部は「日本の原発が安全に運転できるのか、発注する側の新興国などは非常に敏感になっている」と指摘する。日本の原発の実力が今、世界で試されている

参考 産経新聞 2015.01.01

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