中東経済に打撃→原油急落

イスラム教指導者の処刑に端を発するサウジアラビアとイランの国交断絶で、原油価格急落で減速している中東経済のさらなる悪化が懸念されているサウジは国営石油会社の株式上場を検討していると8日に表明したほか、2016年予算では緊縮策を打ち出した。だが、地域情勢の悪化で軍事費が膨らむことも予想され、構造改革が進むかは不透明だ

世界最大の石油輸出国であるサウジは長年、オイルマネーを生かして燃料や電気などの公共料金を極めて低額に抑え、独裁体制への国民の不満を抑えてきた。だが、14年後半から6割超も下落した原油安の影響で、15年の財政赤字は過去最大の約3670億リヤル(約11兆7700億円)と急激に悪化原油収入の積立金も、巨額赤字が続けば「5年未満で枯渇する」(国際通貨基金=IMF)事態となっている

このためサウジ政府は昨年末、16年予算の歳出を14%削減と発表し、電気や燃料の値上げに踏み切った。さらに時価総額1兆ドル(約117兆円)とされる世界最大の国営石油会社サウジアラムコが株式上場の検討を表明し、歳入確保も急ぐ姿勢を見せている

ただ、公共料金値上げは国民の不満に火を付ける恐れがある。サウジ政府は緊縮策発表直後に、イスラム教シーア派指導者ら反王政勢力47人の死刑を一気に執行したが、「緊縮策で独裁王政への不満が高まる前に、人口の大半を占めるスンニ派国民の支持を高めようとした」(英紙)可能性も指摘される

だが、イランとの緊張激化はむしろ財政再建の障害との見方が強い。

イスラム教スンニ派の盟主を自任するサウジは、シーア派系のアサド政権を支援するイランに対抗してシリアの反政府勢力を支援。さらに15年3月には、イランが後ろ盾とされるシーア派武装組織フーシを攻撃するため、隣国イエメンへの軍事介入に踏み切った。15年の軍事費は当初見込みから約200億リヤルも膨らんでいる

一方、核開発を巡る欧米などとの合意で今月にも経済制裁が解除される見込みのイランにとっても、地域情勢の悪化はマイナスだ制裁解除で動き出した欧米企業の投資意欲に冷水を浴びせかねないからだ

 IMFは、08~12年に5%台だったサウジなど湾岸産油国の経済成長率が16年は2%台まで落ち込むとして、早急な経済構造改革を求めている。それだけに「無謀な行為をしている時ではない」(英紙フィナンシャル・タイムズ)と自制を求める声が上がっている

参考 毎日新聞 2016.01.10

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