中性子線で、がん狙い撃ち→腫瘍消える

がん細胞だけを狙い撃ちする放射線治療「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」を、顔や首にできる「頭頸(とうけい)部がん」の末期患者37人に行ったところ、半数以上でがんを消すことに成功したとの臨床研究結果を、大阪大や京都大などのチームがまとめた。29日から京都市で始まる日本癌(がん)治療学会で発表する。
BNCTはがん細胞に取り込まれやすいホウ素化合物を点滴し、弱い中性子線を1時間ほど照射する中性子を吸収したホウ素は核分裂して別の放射線を出し、がん細胞を内側から破壊するホウ素から出る放射線は細胞1個分ほどの範囲しか届かないため、正常な細胞を傷つけず、副作用は小さいとされる

チームは2001年から、京大原子炉実験所(大阪府熊取町)の研究炉で生み出される中性子線を活用弱い中性子線は体表に近い部分しか届かないため、舌や顎、耳の下などにできる頭頸部がんを再発し、有効な治療法がない患者にBNCTを実施した

13年2月までの約12年間に治療を受けた37人中、20人(54%)で腫瘍が消え、13人(35%)で腫瘍が縮小した。3人は効果が確認できず、1人は治療後、診察に来ず評価できなかった。

末期の頭頸部がん患者に対しては、抗がん剤を投与し続けた場合の5年後の生存率は5%以下とする米国チームの報告がある。今回は30%(11人)だった

チームの加藤逸郎・大阪大助教(口腔外科)は「生存率は従来の治療法より大幅に向上した。今後は治療が難しい、ほかのがんに使うことも検討できる」と話す。

桜井英幸・筑波大教授(放射線腫瘍学)の話「他に治療法がない患者を多く救った画期的な成績と評価できる中性子線による合併症の恐れはあり、安全性の検証も欠かせない

参考 読売新聞 2015.10.28

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