中国製造業→倒産ブーム?

中国政府・工業情報化部のシンクタンク「賽迪智庫」は6月30日、近ごろ世論で製造業の「倒産ブーム」到来との言い方が出ていることについて「中国製造業がまさに過渡期を迎えていることの表れ」と論じた文章を掲載した

文章はまず、製造業の「倒産ブーム」の表象として3つのポイントを挙げて解説。1点目は今年の春節(旧正月)前後から加工製造業が発達している珠江デルタ長江デルタなどの地域で企業の閉鎖が相次ぐ状況が発生し、とくに東莞や蘇州、温州で顕著だったことを挙げた

2点目として1月に米マイクロソフトがノキアの東莞工場閉鎖を発表したりシチズンも広州の現地法人を解散したりと外資の撤退が相次いだ事を挙げた。その他の例として、パナソニック、シャープ、TDKといった日本のメーカーが生産拠点を日本国内に戻す動きを見せナイキやユニクロといった著名企業も東南アジアやインドに工場を移転していると紹介した

3点目には服飾、靴、メガネ、ライターなどをはじめとする製造業の利潤率が落ちたことで、一部企業が「手っ取り早く稼ぎたい」との心理から不動産や石炭、鉱物の“投機ゲーム”に手を出すようになったことを挙げ、「資金と人材が実体の経済領域から離れ産業が空洞化の危機を迎えている」とした

そのうえで、「倒産ブーム」現象に潜む深層的な問題を分析。まず、中国ではなおもサプライチェーンにおける低レベルな付加価値の低い製造業が過剰であり、品質や創造性に欠ける生産方式から脱却できない企業が、自然淘汰的に倒産へ追い込まれたと論じた

また、日本や欧米が「再工業化」戦略のもとで技術革新を強化し、ハイエンドな製造技術力の足固めを図りかたやベトナムやインドといった新興国が、コスト面で優位性を失った中国からミドル・ローエンドの製造業を奪いにかかっている状況において中国の製造業がその「板挟み」になっているとした

さらに、中国の製造業が新たな優位性を築くための活路は技術や産業のイノベーションにあり近年努力を重ねてある程度の成果を挙げているものの、その能力はなおも先進国に大きく劣っている点も問題点として挙げた。具体的に、設計、製造、標準体系などがぜい弱であるほか、人口100万人あたりの研究者数が日本の約15%、欧米の約20%程度と人材不足であることを示した

そして「われわれはまさに、もともと持っていた優位性が徐々に弱まる一方で、新たな優位性をいまだ確立できていない過渡期に位置しているのだ」と結んだ

参考 サーチナ 2015.07.10

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