中国脅威論は迷信→日本への影響は限定的

■通信伝達手段の進歩が世界の歴史動かす

いまさらながらですが、文明の利器が人類の歴史にいかに巨大な影響力を及ぼしてきたのか、ということを考えさせられます。近世・近代では、活字・印刷や電波媒体が世界地図を大きく塗り替えましたが、ここ四半世紀における通信伝達イノベーションの加速度的進展は目を見張るほどで、昨今のIT技術は日進月歩です。しかもそれは、上層社会やプロフェッショナルの世界に踏みとどまることなく、民衆レベルにまで大きく普及してきた経緯が読みとれます

思い起こせば、1969年(昭和44年)に開発され、数年も経ずして世界的に普及したのが、小型軽便な録音器具でした1979年のイラン革命の起爆剤になったのは、ホメイニ師の説教を録画したカセットテープだったのです

当時、この商品を製造販売する企業に奉職していた筆者はアメリカにおりました。そのとき目にしたイラン革命に関する新聞記事の中に、自社ブランドの赤ラベルのカセットの写真を見つけたときのある種の興奮を思い出します。

その次に起こった東欧民主化は25年前のことで、今度は衛星テレビとファクスが起爆剤となりました

 そして21世紀のIT普及が生んだ民衆蜂起「アラブの春」(2010年~2012年)は、ご存知のフェイスブックによるものです。しかも極めて皮肉な現象は、人口急増で25歳以下の人口が過半を占め、若者の4割が失業中というエジプトで、ムバラク政府がIT産業でこれを解消せんと取り組んだことが全く裏目に出てしまったことです農業と観光産業に雇用を依存してきただけに、幅広い教育訓練と就労基盤の極端に弱い国で、付け焼刃的な雇用対策が通じるわけがなく、大衆慰撫策が、逆に墓穴を掘ってしまったようです

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