中国人はなぜ日本の炊飯器を愛するのか?

中国人が日本で日本製品を購入する際の3つのポイントとして品質、面子、贈り物」を挙げましたつまり、品質が良いこと(可能な限り「made in japan」)、中国に持ち帰って友人や知人に見せたりプレゼントする際に面子が立つこと、贈り物に最適であることが重要である、ということです。3回目となる今回は、このうちの「品質」についてより詳しく説明したいと思います。

■「品質」にはコストパフォーマンスも含まれる

「品質」に対する異なる考え方

中国人は日本製品を「品質が良い」と褒めますが、彼らが考える「品質の良さ」というのは、我々日本人が考える「品質の良さ」とは若干ニュアンスが異なります日本人が「この商品は品質が良い」という言う場合例えば「壊れにくい」「スペックが高い」「質感が高い」「作りこまれている」「新鮮である」等、製品が持つ良さを思い浮かべることはあっても、そこに価格を含むことはあまりありません。むしろ、品質が良いものは価格が高いと考えるほうが多いと思います。

しかしながら、現在日本を訪れて“爆買い”をしている中国の人たちが言う「日本の製品は品質が良い」という言葉には価格的な要素も含まれています。つまり、彼らにとって日本の製品の品質の良さというのには、「コストパフォーマンスが高い」という意味も含まれているのです

 訪日中国人は、壊れにくく、スペックが高く、こんなにも多機能な炊飯器を、“中国では考えられないような値段で買うことができる”という意味で、日本の製品は品質が良いと言っているという点を理解することが重要です中国語で品質を表す言葉に「质量(zhi liang)」という言葉がありますが、品質とは質と量で測られるという意味で象徴的だと思います

 感動的なコストパフォーマンスを激賞

今の話を聞いて、読者のみなさんの中には「そんなこと言ったって、中国人は日本に来て高いモノをどんどん買い漁っているじゃないか。とてもコストパフォーマンスを考えているとは思えない」とおっしゃる方もいるかもしれません。

なぜ、そのように見えるのか。答えはとても簡単で、日本で買える炊飯器と同じモノを中国で買うと、日本人には想像がつかないほど値段が高いからです

日本人にとっては高いと思える高級炊飯器でも、中国ではそれ以上の高額で売られていますその値段を見慣れている中国人にとっては、日本で売られている高級炊飯器が非常に安く見えます。そのため、中国の人の言葉で言うと「性价比很高(xing jia bi hen gao)」つまり、コストパフォーマンスが高いということになります

私は中国に住んでいるので分かるのですが、実際日本で10万円程度で売られている性能の良い炊飯器と同じモノを中国で手に入れようとすると、倍以上の値段になることも少なくありません高性能で多機能な炊飯器が半額で買えて、さらに免税だなんて!  そんな感動も含めて中国人は日本の製品を「品質が良い」と激賞しているのです

■定番のお土産「四宝」に求める品質とは

ポイントはごはんを炊いた後

訪日中国人の定番お土産「四宝(si bao)」は、炊飯器、温水洗浄便座、魔法瓶、セラミック包丁)です。それぞれがなぜ定番お土産なのか見ていきましょう。

 まず、中国人はなぜ日本の炊飯器をこれほど愛するのでしょうか。重くてかさばるのにもかかわらず、日本の空港で中国行きの便のチェックインカウンターを見ると、たくさんの中国人がカートに炊飯器を乗せています

多機能で性能が良く、ふっくらとした美味しいごはんを炊くことができるからというのは当然の理由なのですが、中国人が日本の炊飯器を絶賛する最大の理由は他にあります実は非常に簡単な理由で、保温性能が素晴らしいからです

 中国で売られている値段の高い炊飯器でごはんを炊くと、日本の高性能炊飯器と同じとまでは言えないまでも、それなりに美味しいごはんを炊くことができますしかし、問題はごはんを炊いた後です日本の炊飯器は保温性能がとても優れていて、一晩保温しても、次の日の朝、美味しいごはんを食べることができますところが、中国の炊飯器は、一晩保温すると次の朝にはごはんがカチカチになってしまい、硬くて食べられなくなってしまいますそのため、炊いたごはんは炊飯器で保温せずに大きなお椀やお皿等に取り分けて、次の日に食べる際に電子レンジで温めたり、中華鍋に水を張り蒸気で温めたりして食べるのですが、やはり味は落ちてしまいます

「温かいごはんを食べたい! 」が日本の炊飯器人気の原動力

 中国では冷たいごはんを食べる習慣がありませんので、みんな温かいごはんを食べたいと思っています日本の炊飯器なら、夜炊いたごはんでも次の日に温かい状態で美味しく食べられますこれは中国人にとっては何者にも代えがたい幸せなことです保温性能が素晴らしい」という品質的価値こそが、日本の炊飯器が中国人からこれほどの人気を集めている一番の理由なのです

■最初は「面白い」お土産だったセラミック包丁

では、四宝の残りの3つの商品、温水洗浄便座、魔法瓶、セラミック包丁の品質的価値は何でしょうか

魔法瓶は温性能と密封性能という基本性能の高さが評価されています中国で売られている魔法瓶は保温性能が低く、また、しっかりと蓋をしても横にすると中のお湯や水が漏れてしまいます(全ての製品とは言いませんが、結構な確率で漏れます)値段が高い商品を買えば漏れることはないのですが、それならば日本で買ったほうがコストパフォーマンスが高いということになります

それからセラミック包丁中国では包丁といえば黒い柄にステンレスで銀色の中華包丁が普通です一方、セラミック包丁は、カラフルな柄に真っ白な刃、材質はセラミックと、中国人が考える包丁のイメージとは全く異なりますそのため、最初はお土産に最適な“面白商品”として口コミで人気が広まりましたその後は、切れ味の鋭さ、耐久性の高さ、取り回しの楽さ(中華包丁は大柄なため、小さなものを切るのが大変)等の品質の高さが評価され、訪日中国人が購入する定番商品になりました

温水洗浄便座は前回(「中国人旅行者は日本みやげをこう選ぶ」)にも紹介しましたが、ある有名人が日本で温水洗浄便座を購入する中国人についての記事を発表し、その記事が大きな反響を得たことで人気に火がついた商品です温水洗浄便座は日本の高品質、多機能、ユーザー視点の商品の象徴として、中国人からも高く評価されました

その後、日本で売られている温水洗浄便座の生産地が中国の杭州であるといった報道が中国で盛んに流れたため、最近では若干人気が下降気味だと言われています品質の高い「made in japan」を高品質の保証と考えて日本で爆買いをする中国人が多い現状を考えると「中国生産」であることが盛んに報道された温水洗浄便座は今後人気が低下し、四宝の地位から脱落する可能性があります

参考 yahoo!ニュース 2015.04.27

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