中国→経済対策で対立

中国共産党機関紙の人民日報が9日習近平国家主席の発言をにおわせながら、「カンフル剤の景気対策はバブル再発を招く」と訴えて構造改革を促す論評を1面で掲げたところが、わずか2日後の11日、交通運輸省が、総額4兆7千億元(約78兆円)もの巨額な景気対策を打ち出すなど、ちぐはぐな経済政策が波紋を広げているバブルの再燃を警戒する習指導部と、高度成長への回帰を求める江沢民元国家主席ら守旧派の路線対立が表面化した、との見方が出始めた

9日付の人民日報の論評は、「権威人士」を名乗る匿名の人物がインタビューに応じる形で、「(経済指標の折れ線グラフで)U字やV字の回復は不可能でL字形になる。1、2年では終わらない」と低成長時代の受け入れを迫った。

さらに、公共投資の上積みはバブル再発を招くと警鐘を鳴らし、生産設備過剰で赤字を垂れ流している国有ゾンビ企業の統廃合や人員解雇など、経済構造の改革を急ぐよう要求した

やや高圧的な表現をつかう「権威人士」は習氏を指すとみられ、共産党の意向を代弁する同紙への登場は今回で3回目。初登場だった昨年5月には「成長の下振れ懸念」を示し、2回目の今年1月は「ゾンビ企業退治」を訴えたが、鉄鋼や石油など既得権益をもつ守旧派の反発を受け、なお成果をあげられずにいる

しかし論評掲載の2日後に、交通運輸省とマクロ経済政策を統括する国家発展改革委員会が、高速鉄道や地下鉄など3年間に計303案件、総額4兆7千億元にのぼる交通インフラ計画を打ち出した。守旧派が影響力の及ぶ政府部門を突き動かし、「権威人士」への反撃に出た格好だ。

政策動向を読み切れずにいる上海株式市場は右往左往し、相場は乱高下を続けた。習指導部に近い上海の大学教授は、「(今年8月に満90歳となる)江氏の影響力がどこまで残されているかは不明だが、経済政策をめぐる共産党中央や長老の権力闘争の激化が、さらなる経済混乱を招く恐れがある」と警戒している

産経新聞2016.05.16

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